2018年 第31回 東京国際映画祭 特別招待作品

 
福地桃子の映画初出演にして、初主演となる『あまのがわ』が2月9日(土)より公開される。教育に厳しい母親から大好きな太鼓を反対されたことなどから不登校になってしまった高校生が祖母の入院する鹿児島を訪れ、偶然手にしたロボットや屋久島の人々との触れ合いを通じて自分を取り戻していく物語。そんな作品に臨んだ彼女が、今回の撮影を振り返る。

「何かに悩んでいる子にとって、いろんな可能性を見つけるきっかけになる作品」

 
Q.映画初出演で初主演ということになりますね。
「そう言われると響きが重たいです(笑)。オーディションで選んでいただいたので、受かったということにビックリしました。うれしかったのはもちろんですけど、映画の現場というものを全く知らなかったので、未知なことが多すぎて不安なことも沢山ありました。共演者の方々と長い時間をどう交流していいのか、現場での過ごし方も分からなかったり。その辺は探り探りしながらやってました。2017年の撮影だったので、映画ってこんなに時間を掛けて、こうやってできあがっていくんだなって分かったし、今、自分で見ても若いなと思ったりします。その後、去年は連ドラに2本出させていただいたのですが、撮影した1週間後くらいには放送されるのがオンタイムで新鮮でした。見てくださってる方と同時に歩んでる気がして、ドラマと映画のスピード感の違いを改めて感じました」

 
Q.撮影は鹿児島や屋久島が中心になりましたね。
「東京とは全く雰囲気が違いますけど、鹿児島市内と屋久島でもまた違ってて。私も主人公の史織も東京の子なので、鹿児島や屋久島に行ったときの気持ちは同じような感じなんだろうなと思いながら演じてました。共演者の方やスタッフさん1人1人と関わる時間が多くて、東京にいたらこんなに会話してないよね、なんて話してましたけど、人の温かさを感じることの多い現場でした。私にとってもそうでしたけど、史織にとってもいろんな大人の方と出会って、大きくなって東京に帰るっていう成長過程が描かれている作品だなと思います」

 
Q.不登校という重いテーマを扱っているようでいて、温かさや時折コミカルなところもある作品だなと思いました。
「私の中でも撮影が進むにつれて、不登校というワードに対しての考え方に変化はありました。不登校ってネガティブに捉えられがちですけど、史織にとってはその期間に得たものが大きくて、有意義な濃い時間だったなと思います。不登校を勧めるわけじゃないですけど(笑)、学校に行かなきゃダメだよっていうだけじゃなくて、違う声のかけ方もあるんじゃないかなって思いました。同じような状況にいる子や何かに悩んでいる子にとって、いろんな可能性を見つけるきっかけになるんじゃないかなと思います」

 
Q.お母さんや友だちとのこと、おばあさんや島の人たち…ロボットも含めての交流と、さまざまな関係性が描かれていますね。
「史織のことを周りで支えてくれる人たちのおかげで彼女が成長していくお話ですからね。主人公は史織なのですが、登場人物を1人1人フィーチャーして見ていくと、みんないい意味で自分に合った無理をしてない生き方をしている姿が描かれている作品だなって思います。そんな人たちとめぐり合ったことが感動的だし、奇跡的。ロボットが出てくる物語ですけど、リアルに描かれてるなと思います」

 
Q.東京の学校にいるときの史織は周りの友だちと馴染みきれていないようにも見えましたが、鹿児島に行ってからは今どきの女の子らしさが出てきていました。
「そんな風に見ていただけたなら、私が意識していたことが少しでも伝わったのかなと思ってうれしいです。友だちとぎこちないというわけではないですけど、何か思うところがあるから、ああいう距離感になったのかなと思うし。でも、全く違う環境に行くことで自分の新しい一面を発見して、殻を破っていった。史織にも普通の高校生らしいところがあって良かったです。映画ではそこまで描かれてはいませんけど、島での経験を経て東京に帰った史織は、友だちとの関係も前とは変わったんじゃないかなと思います」

 
Q.太鼓の演奏シーンは映画の見どころの1つですね。
「撮影前に練習期間があったんですけど、小さいころから太鼓をやっていてすごく上手っていう役だったので、全然時間が足りないなと思いました。でも、太鼓に関しては妥協しちゃいけないし、ちゃんと叩けるようになることが一番の壁でしたね。初めは下手な人にできやすいマメが手にできてるって言われましたけど、最後のほうには正しいマメができたねって言われてうれしかったです」

 
Q.初主演映画に続いて、4月からは朝ドラ『なつぞら』も控えています。女優としてのこれからの目標は?
「映画では鹿児島、朝ドラでは北海道ってお仕事でいろんな場所と関われるのはうれしいです。いろんなところへ行って、出会って、初めて知れるという事が自信につながるので。今は目の前にあることを1つずつしっかり向き合っていきたいです。女優としてというより、人としての目標はとにかく大きな人になること。お仕事を通じて、何層も何層も重なった大きな人になりたいです」
……ありがとうございました。

映画情報

映画『あまのがわ』2月9日より全国順次公開
配給:アークエンタテインメント
映画『あまのがわ』公式サイト

あらすじ
史織(福地)は祖母の菊江(水野久美)から習った太鼓が好きだったが、教育に厳しい母親の聡美(生田智子)に止められていた。さらに友人が自殺してしまい、史織は不登校に。そんなある日、菊江が入院し、史織は鹿児島へ見舞いに行く。そこで菊江から勧められ、太鼓の演奏をするために屋久島へ向かった史織はその道中で、人の言葉を話すロボットと出会った。
出演:福地桃子
柳喬之、吉満寛人、マツモトクラブ、住岡梨奈、西田聖志郎、渡邉幸愛、園田あいか
杉本彩、生田智子、水野久美 他
監督・脚本・原作:古新舜

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©あまのがわフィルムパートナーズ
取材・文:青木孝司
ヘアメイク:平井寛功/スタイリスト:武久真理江
 

※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)

 

 
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