2022年にテレビ神奈川でシーズン1が放送され、翌年の2023年に放送されたシーズン2も高い人気を博したホラー&ミステリードラマ『この動画は再生できません』がついに映画化! 『この動画は再生できませんTHE MOVIE』として、2024年9月13日(金)から全国で上映がスタートする。本作はいわくつきのDVDに隠された謎をホラーDVDの編集マン・江尻真(加賀翔)と、ある秘密を抱えたオカルトライター・鬼頭和弘(賀屋壮也)が解き明かしていくというもの。主演を務めるかが屋の二人に、映画の見どころやシリーズへの思いを聞いた。
「こんなに貴重な経験は人生で何度もないはず」
――まずは、『この動画は再生できません』シリーズが映画化されるという話を聞いたときの率直な思いをお聞かせください。
加賀:「まさか映画化するなんて」という驚きが大きかったですね。シーズン2まで行ったことすら予想外だったのに、映画館のスクリーンという、より大きな画面でみなさんに観ていただけるなんて、感動しかないです。
賀屋:めちゃくちゃ嬉しいですよ。ドラマ版のときに山でのロケがあったんですけど、本当に少人数でスタッフさんが3~4人くらいしかいなかったんです。谷口(恒平)監督が音声の機材を持っていましたからね。それが映画化なんて、ちょっと規模が大きくなりすぎて、信じられない。
加賀:そう。最初はシーズン1の全話を「2日で撮ります」って監督に言われて、これ本当にテレビで流れるんだろうかって(笑)。
賀屋:どうなるんだろうという若干の不安からはじまりました。ただ、コンビで掛け合いをするのは慣れているし、僕なんかは特に怪しげな見た目じゃないですか。みうらじゅんさんみたいな。だからホラー&ミステリーという作品のテイスト自体にはマッチするんだろうなとは思っていて。見た目が怪しくて助かりました(笑)。
――お二人の掛け合いや謎解きなど、これまでにあまりない要素を持つホラー作品ということもあって、シーズン1と2は大きな話題になりました。お二人のもとに反響は届いていたのでしょうか。
加賀:周りから言われたこともありますけど、回を重ねるごとにホラーファンの方たちの間で話題になっていったようで。SNSに面白いホラー作品をまとめているアカウントがたくさんあるんですけど、そういったところでも取り上げられたりしていました。
賀屋:“ホラー好き”って芸人の中にもけっこう多くて。シーズン1と2は動画配信サービスでも観ることができるので、芸人の先輩から「あれ観たよ」なんて声をかけられることもありましたね。
――今回の映画には、先輩のアキラ100%さんやあべこうじさんも出演されています。
賀屋:僕らが演技についてどうこうは言えないですけど、いやもう、お二人とも素晴らしかったですね。
加賀:アキラさんは、劇中のロケ番組に本人役として出演されるんです。最初は「なんでアキラさんなんだろう?」って思ったんですよ。でも、明確にアキラさんじゃなきゃいけない理由があるんです。
賀屋:確かに。一番の重要人物かもしれない。
加賀:アキラさんがどうして物語のカギになるのか、注目してほしいですね。
――本作では、加賀さんの演じる江尻くんの推理も見どころの一つです。
加賀:このシリーズって、映画もそうですけど、キャスティングがばっちりハマっていて、たぶん賀屋が江尻役で僕が鬼頭役だったら、成り立たないと思うんです。
賀屋:逆は絶対にないよね。
加賀:コントでも、推理役を担当するのはだいたい僕のほうなんです。なので、普段やっているコントと、ある意味では地続きというか、延長線上にあったので、そこは演じやすかったです。
賀屋:基本的には監督も含め、スタッフのみなさんが「お二人のやりやすいように」というスタンスでしたし、映画もシーズン1と2のスタッフさんと同じだったので、めちゃくちゃやりやすかったです。テレビシリーズを観ていた人はわかると思うんですけど、僕の演じている鬼頭はちょっと特殊な役なので、いろいろと準備とかが大変だろうなと思っていたので。
――ちなみに、ホラー映画ということもあり、撮影中に何か怪現象を体験されたりしましたか?
加賀:照明がつかなくなるとか、カメラが止まっちゃうとか、そういう機材トラブルみたいなのはありましたね。試写のときもしっかりと確認したはずなのに、音と映像がずれるっていうハプニングがあったみたいです。
賀屋:でも、そういうのって絶対に紐づけちゃうじゃないですか。真実はわかりませんけど、みんなうっすら幽霊のせいだと思っているっていう状況は怖いですよね。僕なんかは、全然霊感とかはないんですけど、どうやら霊に憑かれやすい体質らしいんですよ。
加賀:みたいです。
賀屋:昔、芸人4人でルームシェアしていて、僕が引っ越した後の話なんですけど、ある日、後輩の霊感のある子がその家に遊びに来て、「めっちゃ感じる」って言うのが僕の暮らしていた部屋だったんです。しかも「女性の幽霊がいたけど、それは賀屋さんが連れていっちゃった」って言うんですよ。僕は後からその話を聞いて怖くなったんですけど、何も感じていないんで、今のところ大丈夫かなって。
――加賀さんは怖い体験みたいなものはありますか?
加賀:少し前に岡山県のロケに行って、二人である旅館に泊まることになったんです。部屋を2つ取ってもらっていて、1つは大きい部屋で、もう1つは小さい部屋でした。賀屋は後から来る予定だったので、僕が先に好きな部屋を選べたんですけど、普通は大きい部屋にするじゃないですか。でも、その部屋の中に入るとひんやりしていて、「ちょっとここでは寝たくないな」と思ってしまったんです。なので、小さい部屋にして、賀屋に大きい部屋を譲りました。まぁ別にわざわざ言う必要もないなと思って黙っていたんですけど、後日、番組で霊感のある人から、賀屋がその旅館から「霊を連れて帰って来ている」って言われて。
賀屋:ひどい話でしょ。僕、ちょっとかわいそうじゃないですか? 何も知らずに霊に憑かれているって。旅館とルームシェアしていた家から連れてきちゃっていますからね。まぁ実害はないですし、良い霊の可能性もあるので、気にしていません。なんせ主演ドラマが映画化していますから。今後も映画やドラマへの出演が決まるかもしれないですし。
加賀:ポジティブだな~。
――お二人はドラマや映画への出演に意欲的なのでしょうか?
賀屋:意欲はすごくあります! 僕はいろいろな映画に出演して、各地の映画祭のレッドカーペットをニコニコしながら歩きたいですね。
加賀:僕は良い感じの役をいただけたら挑戦してみたいです。僕ら普段はコントをやっていますけど、ドラマや映画じゃないと届かない層というのは絶対にあるので、そこへ届けるためには演技もやっていきたいと思っています。
――『この動画は再生できません』の次の展開も期待できそうですね。
賀屋:こんなに貴重な経験をさせていただくことなんて、人生で何度もないはずなので、これで終わらせたくないですよね。テレビのシーズン3とか4とか、映画のパート2とか、次の展開は何かしら目指していきたいです。
加賀:自分たちの主演ドラマが映画になるなんて、考えてもみなかったので、まだ具体的に先のことまでは考えられないんですけど、映画を観てくれた方たちがSNSなどで「面白かったよ」と発信してくれれば、続く可能性は十分ありますので。そこはみなさんのお力にかかっています!
賀屋:口コミでつないできたシリーズだからね。
加賀:すごく面白いので、広がってくれたらと思いますね。『インサイド・ヘッド2』くらい話題になってくれれば。
賀屋:すごい広がり方だな。
加賀:夢は大きく(笑)。
賀屋:確かに、『王様のブランチ』の映画ランキングとかに入ったりしたら感無量かも(笑)。映画の公開は9月13日で、まだ残暑も厳しいはずなので、ぜひ劇場に足を運んで涼しくなっていただきたいですね。
加賀:よろしくお願いします!
- 作品情報
- 映画『この動画は再生できませんTHE MOVIE』
2024年9月13日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー。あらすじ
ホラーDVD「本当にあったガチ恐投稿映像」シリーズを制作する編集マンの江尻(加賀)とオカルトライター・鬼頭(賀屋)の元に様々ないわくつきの映像が届く。倒産した映画会社の倉庫で発見されたいわくつきのDVD。自称世直し系動画が迷惑者を懲らしめるという名目で廃ビルを探索する生配信。お笑い芸人とグラビアアイドルによるどこか奇妙な街歩き番組。編集マンとしての知識や持ち前の洞察力で、動画の裏に隠された秘密を推理していく江尻と、それを見守る鬼頭だったが…。
出演:加賀翔、賀屋壮也、和田雅成、世古口凌、平野良、桃月なしこ、アキラ100%、福井夏、あべこうじ
監督:谷口恒平
脚本:河口芳佳、谷口恒平≫映画『この動画は再生できませんTHE MOVIE』公式サイト
撮影:宮崎雄亮 取材・文:山口智弘