ギネス記録された圧倒的な火薬量で戦争の悲劇を描く


©ELOKUVAOSAKEYHTIÖSUOMI 2017

 
埼玉県飯能市にオープンした「ムーミンバレーパーク」、一昨年から続くサウナブームなど、いまフィンランドが熱い。そのフィンランドと旧ソ連の間で1941年から1944年まで繰り広げられた「継続戦争」を、兵士たちの目線から描いた映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』が、6月22日(火)より劇場公開が決定し、この度日本版最新予告版が到着した。
2017年10月にフィンランドで公開された本作は、並み居るハリウッド大作を押さえ7週連続興行成績第一位を記録。フィンランド映画史上最高の興行収入を記録している。観客動員は100万人を超え、人口550万人のフィンランドの約5人に1人が映画館に足を運ぶ異例の大ヒットとなった。75年の歴史を持つヨーロッパでも最も歴史ある映画賞の一つであるジュシ・アワードでは主演男優賞、観客賞など5部門を獲得、高いクオリティを持つ傑作であることも証明した。
予告編では、森林地帯や大河、そして雪原と豊かな自然環境を有するフィンランドの特性を生かしたカットが多数紹介されている。2016年の6月から80日間フィンランド各地で行われた撮影では、フィンランド国防軍が全面協力。エキストラの数は延べ14,000人以上を動員し、極北の地での戦闘を限りなくリアルに再現している。
特筆すべきは「ワンシーンに用いられた最大の火薬量」がギネス記録に認定されたこと。なんと70.54KgのTNT火薬がワンテイクのためだけに使用された。これは爆発地から100メートル離れた地点でも家屋倒壊の危険がある爆風圧を生じさせる火薬量である。


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激しい戦闘シーンの一方で、戦争の犠牲となるのは兵士だけではないことも、この映画は謳い上げている。予告編では、身重の妻と家族を残して最前線に駆り出されるベテラン兵士や、結婚式を挙げてすぐに戦場に旅立つ若き兵士の姿が紹介されている。
現代にも通じる戦争にまつわるこうした悲劇をあますことなく描くことで、『アンノウン・ソルジャー』は単なる戦争アクションではなく、感動のエンターテインメントとなっている。
101年前に念願の独立を果たしたフィンランドは、僅かその20年後に旧ソ連に対して、国民的叙事詩である「カレワラ」やシベリウスの交響詩「フィンランディア」の原点となったカレリア地方の奪還のために戦端を開く。第二次ソ連・フィンランド戦争である「継続戦争」は、当時400万人の総人口の内50万人が従軍した、現在世界各国で起こっているさまざまな戦争や紛争のルーツともいえる戦争である。
本作は国民的作家のヴァイノ・リンナによる古典小説「無名戦士」の3度目の映画化となるが、独立記念日には旧作が毎年必ずTV放映され、当時の兵士たちの戦いが現在の平和の礎となっていることを、フィンランドの全国民が再認識するきっかけとなっている。
◆日本版予告編はこちらから(YouTube)◆

映画情報
タイトル
映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』
6月22日(土)より新宿武蔵野館にて全国順次ロードショー


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1941年、前年にソ連との“冬戦争”に破れ、領土の一部を失ったフィンランドはソ連から領土を取り戻すためにソ連に進攻、“継続戦争”が勃発する。この戦争でフィンランドは400万の人口に対して50万の軍隊を組織、強大なソ連軍に歩兵中心の戦いを挑む。そんな中、それぞれ異なった背景を持つ4人の兵士たちは最前線で苛烈な戦闘に身を投じる。たとえ戦場で息絶えたとしても戦士たちの生きた証はそれぞれの家族に、そして大地に確実に刻まれていく…。
監督・脚本
アク・ロウヒミエス『4月の涙』
出演
エーロ・アホ(『4月の涙』)、ヨハンネス・ホロパイネン、ジュシ・ヴァタネン、アク・ヒルヴィニエミ、ハンネス・スオミほか

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※この記事はauテレビでも掲載されました。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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