長回しカットや自然光へのこだわりなど細部に宿る監督の魂


© Ms. CHU Yanhua and Mr. HU Yongzhen

 
ガス・ヴァン・サント、ホウ・シャオシェン、タル・ベーラ、イ・チャンドンなど世界の名立たる巨匠たちをも虜にした29歳の俊傑フー・ボー監督の長編デビュー作にして、遺作となった『象は静かに座っている』の日本公開が決定した。
デビューと同時に世界を魅了した29歳の新人監督フー・ボー。作家としての顔も持ち自身の著書「大裂」の中でも最も気に入っているという短編「象は静かに座っている」を映画化した。
世界中の映画を愛し、ハンガリーの巨匠タル・ベーラを師と仰ぐフー・ボーの作り上げた映像 は、長回しのカットや、日中の自然光にこだわったライティング、登場人物の立ち位置からカメラのアングルの細部にまでこだわり、上映時間は3時間54分におよぶ。カットひとつひとつに映画への敬意を惜しみなく表現し、持てる力全てを詰め込んだ若々しさは、監督の魂からの叫びのように映像に力を宿している。
『象は静かに座っている』の完成後フー・ボーは自ら命を絶ち、本作はボーにとって生涯ただひとつの“命を懸けた”最初で最期の最高傑作となった。
本作は、昨年の東京フィルメックスにも出品され、4時間弱の長尺ながら映画ファンがつめかけ、大きな注目を集めた。11月より、シアター・イメージフォーラム他にて公開される。


© Ms. CHU Yanhua and Mr. HU Yongzhen
映画情報
映画「象は静かに座っている」
11月、シアター・イメージフォーラム他にて公開
ストーリー
年齢、性別の違う4人のある1日を描く。中国、炭鉱が廃れ世間に見放された 小さな田舎町に4人の男女がいた。暴力で自分を守る男、将来の目的を見出せない少年、教師と関係を持つ少女、家族に突き放された老人。生きることに疲弊しながらも、いまを抜け出す希望の光がいつか差し込むその瞬間をただ待っていた。北の僻地・満州里の動物園にいる、1日中ただ座り続けているという奇妙な象の噂は、くすぶり続けていた4人の心を魅了した。象はなぜ座っているのか。答えの先に無意味な日々の終わりを求めて歩き出す――。
監督・脚本・編集
フー・ボー
出演
チャン・ユー、ポン・ユーチャン、ワン・ユーウェン、リー・ツォンシー
撮影
ファン・チャオ
音楽
ホァ・ルン

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※この記事はauテレビでも掲載されました。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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