テレビ東京系、金曜深夜の『ドラマ24』、1月10日スタートの『コタキ兄弟と四苦八苦』は話題になること必至。『逃げるは恥だが役に立つ』や『アンナチュラル』の脚本を手掛けた野木亜紀子さんのオリジナル作品となり、『ハード・コア』、『リンダリンダ』など強烈な印象を残す映画を撮ってきた山下敦弘監督が初めて連続ドラマの演出を全話手掛ける。さらに古舘寛治さんと滝藤賢一さんがW主演と、キャスティングも魅力的。放送が待ち遠しい本作の魅力を滝藤さんが語る。
 
Q. この番組の内容を聞き、一視聴者として早く見たいと思いました。
ありがとうございます。『コタキ兄弟と四苦八苦』が世間から注目を集めているとしたら、こんなにうれしい事はないですね。もちろん“スター勢揃い”みたいなドラマも素敵ですが、今回のような、主演をあまりやったことのない僕らがメインの作品でどんなおもしろいことができるのか、僕自身も今から観るのが楽しみです。

 
Q. 脚本と監督も、なんとも贅沢な方が揃いましたね。
この座組が実現したとき、「マジすか!?」と思ったほど。宣伝効果は野木さんと山下監督を前面に押し出した方が良いでしょうね、古舘さんと僕じゃなくて(笑)。この作品は「自分たちがW主演のドラマを立ち上げよう」ってところから始まっているんです。でもいろいろな都合で、もともと予定されていた時期の撮影が難しくなってしまって。そのときは、「もう古舘さんじゃなくていいんじゃないですか(笑)」って冗談半分で言いましたけど、一緒にこの作品を作ることができて、本当に幸せでした。
Q. 撮影現場はいかがでしたか?
古舘寛治という俳優はすごいです。このドラマは古舘寛治が炸裂していますよ。ほかのドラマではできないようなことをたくさんされていたはずです。撮影に入る何カ月も前から二人で本読みを重ねましたし。どの作品も事前に本読みをするのは難しいです。やれても、せいぜい1話を1回だけ。撮影当日、現場に行って、そこで初めて共演者と顔を合わせてリハーサルして本番っていうのが当たり前ですから。
Q. お二人とも多忙だと思います。その合間を縫って本読みを?
もちろん。古舘さんが海外に行って、帰ってきたと思ったら僕が海外に行って。そんなすれ違いはしょっちゅう。それでも何とか時間を作って本読みしていました。


©「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

 
Q. この作品にそこまで情熱を注ぎ込めた理由とは?
この作品だからってことはないです。基本、どの作品に対しても情熱はあります。とは言え、W主演の作品ですし、僕らが言いだしっぺですから。最後まで責任を持つべきだと思っていました。そのため、モチベーションも途切れることなく、最後まで高く保てたと思います。古舘さんのテンションは異常でしたよ。現場で顔を合わせるたび「幸せだなあ、幸せだなあ」と言っていたほどです。少しでも疑問があれば、監督と常にセッションしていました。とても贅沢な時間を過ごせたと思います。
Q. 滝藤さんから見て、古舘さんはどういう方ですか?
最強の共演者で最高のアドバイザーです。ワンシーン、ワンカット終わるたび、ダメ出しをいただきました(笑)。でも他の作品ではそんなことしてないみたいですよ。今回は、それだけの関係を築けたと思うし、空き時間も芳根さんやゲストの方と本読みしていました。ドラマの中でも、ドラマを離れても、コタキ兄弟のような関係だったと思います。休憩時間にいろんな話をしてくれたのですが、それがめちゃくちゃ分かりやすくておもしろい。「古舘塾」を始めてほしいくらい(笑)。

©「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

 
Q. もともと古舘さんとは交流があったんですか?
何度か作品で共演したことはありました。僕は以前、共演者とほとんど話をしなかったんですよ。でも古舘さんは何だか気になる存在で、ある現場で助監督に対して熱くなってたことがあって、「今、怒ってましたね、ダメですよ、そんなカッカしちゃ」なんてケラケラ笑いながら声を掛けたこともありました。懐かしいですね。あれから何年も経ち、まさかW主演できるなんて…。しかも、こんな素敵なチームで感慨深いです。俳優側から「こういう作品をやりたい」と言って、実現するなんて奇跡ですよ。これに味を占めて、また言ってみようかしら(笑)

 
Q. 野木さんの台本の印象は?
野木さんとは以前、「重版出来!」でご一緒させてもらいました。今回、主演として野木さんの書いてくれた物語と向き合い、古舘さんをはじめとするキャストの皆さん、山下監督やスタッフのみんなとセッションするのに、とてつもなくおもしろい作品を用意してくれました。ただ、最初に読んだときは「めちゃくちゃ面白いけど、やるのは難しい脚本ですね」と、打ち合わせで野木さんや監督にも伝えました。
Q. どんなところが難しいと思ったのでしょうか?
場所があまり変わらないし、1つ1つのシーンが長いので、丁寧に丁寧に積み上げないと、おもしろさがポロポロとこぼれてしまいそうで。しかも時間も限られていて。撮影する側のスタッフも俳優に負担をかけないよう相当悩まれたと思います。

©「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

 
Q. それは野木さんからの、「こういうものを書きましたけど」という挑戦状だったと思いますか?
古舘さんと僕を当て書きして下さったんです。打ち合わせで話していたことが、古舘さんの役に採用されていましたねぇ。それが、おかしくて笑いが止まらなくなることが多々ありました。お互い、「これは僕とは違うでしょ」、「古舘さんはこんなですよ」、「この感じ、滝藤くんのまんまだよ」ということの繰り返しで。「野木さんすごいな」とうならされることばかり。見抜かれているなーと。
Q. 山下監督の演出はいかがでしたか?
僕、山下さんとは同い年で同郷なんです。やっとご一緒できました。山下さんはとても芝居を大切にしてくれました。モニター越しでなく、可能な限り僕たちの芝居をじかに見てくれていました。いつもカメラ横に張り付いていたので、カメラに監督の頭が映り込んでNGなんてこともありましたね(笑)。僕が納得して演じていても、本当にその演技の選択でよいのか、最後の最後まで粘って考えている姿を見ました。心強かったです。今は素材を欲しがる監督も多いです。どちらがいいとか悪いとかではなく、時間も限られる中、より少ないカット数で芝居を撮ってくれた山下組にとても助けられました。
Q. 改めて「コタキ兄弟と四苦八苦」の魅力とは?
魅力的じゃない所を探す方が大変ですねぇ(笑)あ、オープニング!古舘さんと僕と芳根さんが踊るんです。ぜひ古舘さんのダンスを見てほしい。ステップが超かっこいいっす!あの人、元ダンサーなんですよ。かつて、「紅白歌合戦」で小柳ルミ子さんのバックダンサーを務めたことがあったそうです。古舘寛治という男には驚かされっぱなしで。ニューヨークで演技の勉強をしているから、英語もペラペラだし、以前、『歓待』という映画を観ていたら、サルサを踊っていましたが、とても素敵でした。意外性があるでしょ。今回のダンスにも魅了されますよ。

 
Q. 古舘さんと滝藤さんの、熟練の会話劇を楽しむ作品だと思っていました。それだけじゃないんですね。
もちろん、それも楽しんでください!現場の古舘さんはすごかったですよ。ワンシーン終わるたび、「いまのシーンはどういう解釈でやったの?」って聞いてくるんです。「僕はこうだった」と言うと、「そっか、俺はこう思うんだよね」「分かった、やってみる」なんて事はしょっちゅうでした。「え、何?聞こえない、ちゃんと俺に言って」と言われたこともよくあったし。今、考えるとめちゃくちゃ言われていますねぇ。チクショウ!古舘寛治め!(笑)

 
Q. 滝藤さんにも、演技に対して確固たるものがあると思いますが。
全然。僕はもともと、そういうものは持ってないですよ。自分一人が考えていることなんて、ちっぽけですし迷いますから…。だから現場で僕に一番必要なのは導いてくれる人です。今回は古舘さんしかり、山下監督しかり。共演者・スタッフが僕を導いてくれました。キャリアを積めば積むほど何も言ってもらえなくなりますから、今回は非常にありがたかったです。
Q. もしかしたら、この作品では古舘さんだけでなく、滝藤さんの新たな一面が見られるかもしれないですね。
さぁ、どうですかねぇ。常に新しい役に臨んでいるので、毎回新たな一面が観えるといいですね。ただ今回は僕自身も気付かされたことが多々ありましたし、思ってないとこで感情が揺れ動いたり、発見の毎日でした。おかげで今までとは違った気持ちで次回作へアプローチができそうでわくわくしています。
Q. 最後にプライベートな質問をひとつ。最近、滝藤さんのおしゃれな私服が話題になっています。この冬、注目しているアイテムを教えてください。
色ならパープル。僕にとってのラッキーカラーです。古着をバラバラにしてリメイクした服も好きだし、Tシャツのデザインも無限にありますからね。オンリーワンのTシャツ。子どもの顔をプリントするとか。今日着ているのも、僕自身の顔をプリントしたものです。ね、自分大好きでしょ(笑)。

 

ドラマ情報
ドラマ24「コタキ兄弟と四苦八苦」
脚本家の野木亜紀子と映画監督の山下敦弘が初タッグを組み、演技派の古舘寛治と滝藤賢一のW主演で送る、愛すべきおやじふたりを中心に展開する人間讃歌コメディ。真面目すぎてうまく生きられない兄(古舘寛治)と、そんな兄をみて育ったせいか、ちゃらんぽらんにしか生きられなくなった弟(滝藤賢一)。無職の残念な兄弟がひょんなことから「レンタルおやじ」を始めることに。生きるのが下手な兄弟が「レンタルおやじ」を通して孤独な依頼人たちと関わり、様々な無茶ぶりに“四苦八苦”しながらも、どうにか生きていく姿を描く。兄が通う喫茶店の看板娘を芳根京子が演じ、毎回豪華ゲストが登場。
放送日時
テレビ東京系 2020年1月10日 START 毎週金曜 24:12~
出演者
古舘寛治/滝藤賢一/芳根京子
監督
山下敦弘
脚本
野木亜紀子
※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)
この記事を書いた人
ウィルメディア編集部
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