映画業界の最も重要な仕事の⼀つだけど最も知られていない仕事って?あの有名俳優のあの役はこうやって決まった!キャスティング(配役)の世界を変えた女性の姿を追うドキュメンタリー映画。
本作は、ハリウッドで⻑年活躍したキャスティングの先駆者、マリオン・ドハティ(1923-2011)を中⼼に、キャスティング(配役)という仕事に迫るドキュメンタリー映画だ。絶妙なセンスと直感的な先⾒の明を頼りに、⽩⼈男性⾄上主義が根強く、役者を単純にタイプ分けしていた古いスタジオの配役⽅法から、ユニークで多彩なアンサンブルキャストへ移⾏する道筋をつけ、⾰新的なアメリカン・ニューシネマの到来を告げたマリオン。驚きと笑いに溢れたエピソードの数々、そして切なくも感動的なラストまで…。その⼈⽣を通して、映画史に新たな光を当てる。
本作は2012年に⽶国で公開され、キャスティングへの再評価と、その後にアカデミー賞が取り組む変⾰(2025年の第96回以降は作品賞候補に“インクルージョン(包摂性)”が評価条件に加わる等)にも重要な役割を果たした。さらには、2019年に英国アカデミー賞がキャスティング部⾨を新設したことも話題となった。抜群の注目作が、いよいよ日本上陸を果たす。
名だたる俳優や監督、脚本家、そして後進のキャスティング・ディレクター達が、マリオンとの思い出について語る。キャスティングに関する裏話は、時にクスッと笑い、時にほぉ…と感嘆させられる。マリオンが居なければ、誰もが知る名優や名作は生まれなかったかもしれない。そう思うと、彼女の存在には感謝してもしきれなくなる。
本作はインタビューシーンの他に、マリオンがキャスティングを担当した映画の映像もたくさん流れる。映画ファンにはたまらないだろう。ここもお勧めポイントの一つだ。
キャスティングという仕事の重要さを現在の地位まで押し上げた偉大なる功労者、マリオン・ドハティの仕事に対する熱意を、ぜひ映画館で見てもらいたい。
『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』は4月2日(土)よりシアター・イメージフォーラム ほか全国順次公開。
- 映画情報
出演:マリオン・ドハティ、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ウディ・アレン、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、メル・ギブソン、ジョン・トラボルタ、グレン・クローズ
監督:トム・ドナヒュー