その願い、絶望よりも深く、憎しみよりも強靭。成島出監督作品『ファミリア』。


(C) 2022「ファミリア」製作委員会

 
成島出監督の最新作、映画『ファミリア』の公開が決定した。役所広司と吉沢亮が父子役で初共演し、MIYAVI、佐藤浩市、松重豊ら豪華キャストも出演する。

陶器職人の神谷誠治は妻を早くに亡くし、山里で独り暮らし。アルジェリアに赴任中の一人息子の学が、難民出身のナディアと結婚し、彼女を連れて一時帰国した。結婚を機に会社を辞め、焼き物を継ぐと宣言した学に反対する誠治。一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコスは半グレに追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持つ。そんなある日、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲う……。

監督を務めるのは『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』『いのちの停車場』など、人間ドラマの名手の成島出監督。本作でもその手腕は遺憾なく発揮されている。
息子の幸せを願う不器用な陶器職人、主人公の誠治を演じるのは名優・役所広司。そして一流企業のプラントエンジニアとして赴任したアルジェリアで大切な女性と出会い、新しく家族をつくろうとする誠治の息子・学には吉沢亮。本作のキーとなる在日ブラジル人青年・マルコスを演じるのは、オーディションで選ばれた在日ブラジル人のサガエルカス。厳しい状況で生活しながら、偶然出会った誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持ち、次第に誠治と心を通わせる難しい役を演技初挑戦ながら瑞々しく体現。マルコスの恋人・エリカは、同じくオーディションで選ばれたワケドファジレ。在日ブラジル人の国際的キャストに加え、静岡県の日系4世らのヒップホップグループ「GREEN KIDS」も出演し、物語にリアリティを与える。
他にも、半グレのリーダー・榎本海斗にMIYAVI。誠治の友人である刑事・駒場隆役として佐藤浩市、地元のヤクザ・青木役として松重豊が参加している。日本映画界を支える豪華実力派キャストと多国籍キャストによる熱演は、重たい衝撃とともに観る者の胸を打ち、深い感動を呼び起こすだろう。

この物語で描かれている数々の問題は、遠い異世界の話などではなく、すぐ隣に潜んでいるものだ。何かの拍子に自分も作中の人物たちと同じような立場になるのではないかと思うとゾッとする。映画館のスクリーンから、リアルさがひしひしと伝わってきて、移民問題や半グレ、テロに対して深く考えさせられる。
本作の主題は「家族」である。主人公の誠治はもちろん、息子の学、ひょんなことから知り合うマルコス、とんでもない悪党である榎本にまで、それぞれ違った家族の在り方が描かれている。喜び、悲しみ、怒り、絶望、それぞれの思いの先にある《家族》の姿を、是非とも劇場で見届けてほしい。

映画『ファミリア』は2023年1月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開。

映画情報

監督:成島出
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市

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