映画『幸せの、忘れもの。』
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第75回ベルリン国際映画祭にて観客賞とアート・シネマ賞を、第28回スペイン・マラガ映画祭では観客賞ほか計3部門、第40回ゴヤ賞でも最優秀新人監督賞ほか計3部門もの受賞を果たした本作。

 

第75回ベルリン国際映画祭にて観客賞とアート・シネマ賞を、第28回スペイン・マラガ映画祭では観客賞ほか計3部門、第40回ゴヤ賞でも最優秀新人監督賞ほか計3部門もの受賞を果たした本作。新進気鋭監督の作品が、観る者の心を深く揺さぶり、静かなる熱狂を巻き起こした。原型となったのは、18分の短編映画『Sorda』。 各国の映画祭でノミネート、受賞をあわせ110を超える評価を獲得し、本作へと繋がった。監督を務めるのはエバ・リベルタ。劇作家、社会学者の顔も持ち、そのキャリアは本作にも多大な影響を及ぼしている。
 

主演のミリアム・ガルロは、ろう者の俳優で監督の実の妹。監督が「きっと私たちは、一生をかけてこの映画を準備してきた」と語るように、本作には監督と妹自身の長年の実体験が色濃く反映され、研ぎ澄まされたリアリティが宿っている。
ろう者と聴者との僅かなすれ違い、それぞれが感じる異なる疎外感、いままでの映画作品には決して無かった繊細で絶妙な演出が冴えわたる。ろう者と聴者が象徴的な主人公としながらも、母として、子として、夫婦として、そして生きる全ての人々が感じるふとした切なさ、些細な疎外感、そして必死にもがいた先の小さな幸せを見事に映し出す。
がんばってがんばって懸命に日々を過ごしている全ての人に贈る、本当の幸せへの道しるべ。
 

今回解禁された本編映像では、出産を間近に控えたろう者の妊婦アンヘラが、両親とともに補聴器専門店を訪れる様子が描かれる。アンヘラは自ら店員とやり取りしようとするが、意思疎通はうまくいかず、母親が代わって用件を伝える。自分が話しているのに、とその苛立ちを露わにするアンヘラに、母親は「あなたは他の母親より助けが必要だから、補聴器をつけて」と諭す。さらに、振動機能の有無を尋ねても店員との会話は噛み合わない。やがてアンヘラは感情を爆発させ、「ろう者に接客するなら手話を覚えて!」と言い残し、店を後にする……。
 

エバ・リベルタ監督は、「この映画は聴覚障害についての論文ではありません。私はアンヘラをろう者全体の代表として考えたこともありません。アンヘラは母親になる過程を歩んでいる女性であり、パートナーとの関係に問題を抱え、両親との関係も複雑で、娘に自分のことを知ってもらい、また愛してもらいたいと願う女性です。そして何より、アンヘラはろう者です。アンヘラは世界を受け入れる準備ができているけれど、世界はアンヘラを受け入れる準備ができていないのです」と語るように、“ろう者の物語”に回収されることのない、一人の女性の生の輪郭を丁寧にすくい上げていく。
 

人と人をつなぐはずのコミュニケーションという手段が、ろう者であるアンヘラを苦しめる『幸せの、忘れもの。』は、5月1日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国公開。

 

STORY
ストーリー:聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトル。二人は手話というかけがえのない言葉で、心を通わす。アンヘラは陶芸工房で働き、優しい土の匂いと仲間たちにも見守られ、静かで平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある “幸せな出来事”を境に、何かが少しずつ揺らぎ始める…。やがて再び“疎外の世界”に引き戻されるアンヘラ。聴こえない世界とその外側で、時々見え隠れする“本当の幸せ”をアンヘラは、つかまえることができるのだろうか…。

 

作品情報
映画『幸せの、忘れもの。』

監督:エバ・リベルタ/撮影:ジナ・フェレル・ガルシア
編集:マルタ・ベラスコ 音響:ウルコ・ガライ/サウンド・デザイン:エンリケ G. ベルメホ
出演:ミリアム・ガルロ、アルバーロ・セルバンテス、エレナ・イルレタ、ホアキン・ノタリオ 2025年/スペイン/スペイン語・スペイン手話(LSE)/99分/
原題:Deaf
提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
公式サイト

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