ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー

新久千映の同名漫画を実写化した人気グルメドラマシリーズの第8弾。武田梨奈扮する「酒呑みの舌」を持って生まれた OL・村崎ワカコがさまざま酒場をさすらい“女ひとり酒”を堪能する姿を描く。今回もチキン南蛮をはじめ、中華料理やアジア料理、地方の名物メニューなどが続々登場。2015年1月期の“Season1”から10年間、主人公のワカコを演じ続けている武田梨奈に、作品や役への思い、冬に飲みたいお酒&食べたい料理などを語ってもらった。
 

「皆さんから『ワカちゃん!』と呼ばれることはとてもうれしいです」


――また、新しいシーズンが始まりますが、武田さんにとってワカコはどんな存在になっていますか?

最初の頃はやっぱり自分とは別の人間として見ていて。原作の漫画やドラマの台本を読んで、ワカコのようになりたいなと思っていました。現場でもワカコはどういう人なのか考えながら演じていたんですけど、今では自分とリンクしているような感じ。そんなふうに思えるようになったのは見てくださるファンの皆さんやスタッフの方たち、ドラマに登場する居酒屋さんのおかげ。今では生活の一部みたいになっていることがうれしいです。


――武田さんとワカコが似てきたような感覚ですか?

以前は自分がワカコに寄せて行っているような感じだったんです。今は監督から「ワカコだったらこういうときどうする?」と言われたときに「たぶん、ワカコだったらこうすると思います」って自然に答えている自分がいて。それは、とても不思議な感覚ですね。


――“Season8”まで続くと役名で呼ばれる機会も多いような気がしますが。

撮影をしていると「ワカちゃん!」って言われることがあって。これは、ワカコの行きつけのお店「逢楽」の人たちがワカコのことをそんなふうに呼ぶんですよ。ドラマを見ていないと知らないことなので、皆さんの中に「ワカちゃん」が浸透しているんだなと。先日、審査員として参加した「田辺・弁慶映画祭」で藤原季節さんとご一緒したときに、俳優が役の名前で覚えてもらうということが実は一番難しいという話をしていたんです。作品を見終わった後に、そのキャラクターの名前が見た人の中に残るってすごいことなんだと。だから「ワカちゃん!」と呼ばれることがどれだけありがたいことなのか。改めて身に染みましたし、これからも大切にしていきたいなと思いました。

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー


――認知されることのうれしさがある一方で、イメージが固定することに対して抵抗を感じることはありますか?

10代の頃は昔から空手をやっていたということもあって、アクション作品で皆さんに知っていただく機会が多かったんです。そのときに、ある学園もののオーディションに参加したら審査員の方に「君、アクションの人だよね。何で来たの?」と言われて。あなたは“○○の人”だからほかの役はできないと言われることがコンプレックスでしたし、すごく悔しかったんです。自分の中でアクション俳優というイメージを消すぐらいの何かを残さないといけないという葛藤がありました。そんな悩みを抱えていた頃に「ワカコ酒」という作品と出会ったんです。


――武田さんにとって転機となる作品だったんですね?

「ワカコ酒」を見てくださっている方の中には、私がアクションをやっていて空手が強いということを知らない人もいらっしゃいます。今では、どんな形であれ認知されるということは悪くないことだと思えるようになって。アクションが好きな人というイメージで覚えてもらえたり「ワカちゃん!」と役名で呼ばれることはとても贅沢なことなんだなと。こうやって、シリーズものを続けさせてもらっているありがたさを強く感じています。

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー


――今回の“Season8”に対しては、どんな気持ちで臨んでいますか?

スペシャル版も含めて10年やってきたんですけど、毎回クランクインの前日は眠れないくらい緊張します。皆さんといい現場を作ることができるのか。最後までしっかりと撮影できるのか。そういう不安な気持ちは常にあります。


――そんな中で、ワカコに対する思いに変化はありましたか?

劇中で「今まで飲んだことがないお酒」や「こんなの初めての体験」というセリフが出てくるんです。ワカコは普段からいろいろなお店に行って、いろいろなお酒を飲んで、いろいろな人と出会っているのにどんなときも初心にかえって楽しんでいる人。それがワカコのすてきなところ。だから、作品に入る前の緊張感も決して悪いものではないなと思えるようになって。いつもいろいろなことを新鮮に感じられる人間でありたいなと思いました。


――1話は「チキン南蛮」が登場しますね?

チキン南蛮の食べ方に関しても、タルタルソースが定番だけど実は何もかけずに食べてみるとそれはそれでおいしい。劇中でそんなやりとりがあるんですけど、自分が食べたり飲んだりすることにルールなんてないと思うんですよ。どんな食べ方、飲み方をしてもいい。もちろん、最低限のマナーを守りつつですけど(笑)、好きなように食べておいしさを感じることが一番。そういう話が1話から展開されるところが面白いです。


――確かにワカコはいつも食とお酒を楽しんでいますよね?

ワカコは「今こういう気分なんですけど、どういうお酒がいいですか?」と、素直に店員さんに聞ける。以前、吉田類さんと対談したときに、同じようなことを仰っていて。吉田さんと言えばもう“酒場のレジェンド”みたいな人じゃないですか。でも、吉田さんは酒場に入ったら自分の知識なんて必要ないと。料理やお酒に詳しい人だったらうんちくをいいたくなるところだけど、まっさらな状態でそのお店が勧めるお酒や料理をおいしくいただくだけ。そのスタンスはとてもカッコいいですし、そのスタンスが今回の1話にもちょっと表れているのかなと思います。

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー


――ちなみに、武田さんのお店選びの基準は何ですか?

ワカコはスマホで調べたりせず、直感で決めているんですよ。お店の明かりに引き寄せられたり、外からは店内が見えないけど思い切って入ってみたり。私も仕事で地方や海外に行ったときは、そういう感覚を大切にしたいなと。観光客が行くようなお店ではなくて、地元の人たちが集まるお店に行きたいです。


――最近は、どんな食の出会いがありましたか?

「田辺・弁慶映画祭」の会場近くに鉄板焼き屋さんがあって、そこの名物の「ちゃんぽん」は衝撃的でした。やきそばとうどんを一緒に焼き上げた料理でベースはソース味。ボリューム満点でとてもおいしかったです。


――冬はどんなお酒を飲んで、おつまみは何を食べたいですか?

やっぱり、熱燗ですよね。生魚を食べながら飲みたいです。私は熱燗のときは冷たい食べ物。冷酒のときはおでんや揚げ物といった温かいものを食べています。最近は、焼酎のお湯割りにもハマっていて。そこに梅干しを入れてつぶしながら飲んでいます。

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー


――自分でおつまみを作ったりしますか?

ちくわにアスパラガスを挟んだものを焼いてごまをかけて食べたり、茹でたチキンに刻んだ長ネギをのせてレモンかポン酢をかけたり。そんなに手間がかからないものを作っています。


――そういえば、今回からワカコが足繁く通っている「逢楽」に新メンバーが登場しますね?

もともといた青柳(鎌苅健太)さんが別の店舗に行ったという設定なので「逢楽」は大将(野添義弘)と新しく入った山ちゃん(門間航)の2人に。ワカコがお姉さんのような感じで山ちゃんを見守る立場になっている点が新鮮です。ワカコはいろいろなお店に行くけど、そういう挑戦ができるのは安心できる行きつけの店があるからこそ。私自身も帰る家があって家族がいるからいろいろなことに挑戦したいという欲が出てくるんだと思います。


――今後、どんなことに挑戦したいですか?

もう始めてはいるんですけど語学の勉強をしています。実は仕事の合間に何度か語学留学をしていて。育ってきた環境や年齢、職業も違う人と勉強するのはとても刺激的。もっともっといろいろなことを吸収したいなと思っています。

 

ドラマ情報
「ワカコ酒 Season8」
2025年1月8日(水) スタート毎週水曜 深夜24時~24時30分
BSテレ東(BS7ch)/ BSテレ東4K(4K7ch)

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー
(C)新久千映/コアミックス (C)2025「ワカコ酒8」製作委員会

あらすじ
ワカコ(武田梨奈)は酒と料理が何よりも大好きな26歳。偶然見つけた店でも、勇気を出して一歩足を踏み入れる呑兵
衛女子である。ワカコは職場での出来事に思いを巡らせたり、ほかのお客さんたちの会話に耳を傾けたりしながら、酒
場でのひとり飲みを満喫。時にはこれと決めた料理と酒に舌鼓を打ち、時にはまったりと旬の料理とお酒をたしなんだ
りする。そんな中、仕事を終えたワカコは“宮崎チキン南蛮”という看板を見つけ、胸を躍らせながら店内へ。

出演:武田梨奈、野添義弘、鎌苅健太、門間航、山田キヌヲ、渡部瑞貴、辻本達規、しおつかこうへい、佐古井隆之、長谷川慎也、島崎和歌子、津田寛治

ドラマ「ワカコ酒 Season8」武田梨奈 スペシャルインタビュー公式サイト
撮影:宮崎雄亮  取材・文:小池貴之

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