2022年の大河ドラマの主人公は、北条義時。田舎の平凡な武家の次男坊だったが、姉・政子(小池栄子)が源頼朝(大泉洋)の妻となり状況が一変。頼朝の右腕として、一癖も二癖もある坂東武者たちの間を奔走することに。義時を演じるのはこれまで数多くの大河ドラマに出演してきた小栗旬。時代劇経験も豊富な小栗が語る本作の見どころや義時の人物像とは。
 
「義時のことを日々考えて生活の一部のようになっています」

――大河ドラマはこれまで『天地人』(2009年)の石田三成、『八重の桜』(2013年)の吉田松陰、『西郷どん』(2018年)の坂本龍馬などを演じてきましたが、本作では初めて主演として、北条義時を演じます。
3作品ともとても印象に残っています。なかでも石田三成役は長い時間、撮影に参加させていただいたことで、彼の人生と向き合ったイメージがあります。そういう意味でいうと、今回は主演ということもあり、ほぼ毎日撮影があるので、義時のことを日々考えて生活の一部のようになっています。今作では義時が10代くらいの時からずっと演じているので、今では自分が義時なのか、義時が自分なのか、よくわからなくなっています。不思議な感覚ですね。そのような経験ができることも大河ドラマならではの醍醐味だと思います。

 
――『鎌倉殿の13人』の北条義時はどのような人物ですか?
義時はもともと自分の置かれている立場にあまり不満がない青年だったんです。戦にもそれほど興味はなかったけれど、平家から虐げられていることに対して、源氏とともに立ち向かっていかなければならないことに巻き込まれてしまう。そこからひたすら源頼朝の横にいて、いろいろな政治のあり方を見てきた結果、計算高い人になって権力争いに参加していくという、歴史劇としては非常におもしろい展開だと思います。ただ、義時を演じている僕としては、真っ直ぐだった彼が家族や一族など、守らなければいけない人たちが増えていき、この人たちを守るために厳しい決断をせざるを得なくなる姿や、徐々に非情なことに手を染めていくことを悲しく感じることがあります。

 
――義時が徐々にダークになっていく変化を序盤から意識して演じているのでしょうか。
スタートの時点で演出の方々と話をしたのが、先を見越してやっていくことはやめましょうということでした。やはり物語の中の人物たちもこれからどうなっていくのかわからない世界にいるので、ジャズのセッションのようにその場で突発的に生まれてくるものを大事にやってみないかということで、僕も計算をせずに臨んでいます。序盤はひたすら周りに振り回されていますが、20歳から25歳くらいのときが義時にとって大きな変化が生まれる時期なので、その心の機微が難しいと思いながら演じています。

 
――共演者との撮影エピソードを教えてください。
源頼朝役の大泉洋さんとはおもしろいシーンがあります。でも僕の感覚ではそれがおもしろいシーンになっているのかわからなくて、毎回、大泉さんに、「これでおもしろくなっていますか?」と確認しています。「旬ちゃん、おもしろかったよ」と言われたら正しいことをやったんだなと(笑)。あと、大河ドラマや時代劇だと、「ちょっと」という言葉をあまり使わないのですが、三谷(幸喜)さんの脚本には「ちょっと」というセリフがけっこう出てくるんです。大泉さんも「大河ドラマでこんなセリフを言うとは思わなかった」ということがありました(笑)。これまで時代劇ではその時代の言葉を使わなくてはいけないので、アドリブをはさめないことがありましたが、今回はそういう縛りが薄い分、おもしろくできているのではないでしょうか。また、義時の姉の北条政子役の小池栄子さんはドシっと構えて受け止めてくれる方なので、二人のシーンも楽しいものなっています。じつは今回の作品では、今のところ義時が一番若いくらいのポジションなんです。ですから僕は本当に自由に演じさせていただいています。

 
――三谷幸喜さんの脚本にも期待が集まっています。
この時代は史実を読み解いていくと、なかなか一筋縄ではいかない陰謀渦巻く世界ですが、最初は北条家のホームドラマみたいなところから始まります。そこはやはり三谷さんのユーモアがあって、楽しんで見ていただけると思います。時代劇が好きな方たちにとっては、現代風の話し方に違和感を持つことがあるかもしれないですが、この時代における“選択しなければいけなかったことの難しさ”はしっかりと描かれているので、歴史好きの方たちにも、「そうきたか」と思っていただける作品だと思います。去っていく人の正義や美学、散りゆく人の散り際みたいなものもすごくかっこよく描かれています。僕は最後の最後まで去らないのでうらやましく見ていますが、去る人たちそれぞれのキャラクターがかっこいいので、ぜひ注目してみてください。

――ありがとうございました。
 

ログインする

詳細をお忘れですか?