GoogleやAmazonなど複数のメーカーから発売されいろいろと話題を提供しているAIスピーカーですが、まだまだ別世界のモノのように受け止める人達も多いと思います。しかし、実際にどれだけ便利なものなのかは気になりますよね。国内では後発と言っても良いLINEのClovaですが、独自の発展の兆しを見せており、さらに今後も期待出来そうということで、現時点の特長を紹介するとともに、今後こんな機能が入りそう、欲しいといったことも加えて展望してみようと思います。(写真はClova WAVE)
音楽再生機能はジャンル別ランキングも再生可能。
まずは音楽再生機能ですが、LINE MUSICに加入することで、様々な再生が可能になります。
LINE MUSICは視聴時間20時間までのベーシックプランが500円、再生時間上限なしのプレミアムプランが980円で、さらに学割もあるそうなので家族に学生さんがいらっしゃる方はその方のアカウントでログインすると良いのかもしれません。
ジャンルやキーワード(リラックスできる音楽など)とのマッチ、アーティスト名やアルバム名で再生などベーシックなサーチ検索再生が可能ですが、ジャンルごとのランキング再生が備わっているのが他のAIスピーカーにはない特長と言えるでしょう。流行りの音楽を広くチェックしておきたい人には必携の機能といえますし、逆に言えばエンタメ感度の低い人でもランキングさえ聴いていれば時代についていけるというスグレモノと言えるでしょう。
LINE MUSICにお金を払いたくない!という人はラジオを聴きましょう。「ラジオつけて」と語りかけるとradikoが立ち上がり、声で局を変えることが出来ます。
LINEの送信・読み上げ
LINEの送信や読み上げが出来るのがLINE Clovaの特長ですが、簡単に説明すると「LINE読んで」と呼びかけると受信メッセージを音声で読み上げ、「LINE送って」の後にメッセージを語りかけると言葉をテキストに変換して発信してくれるというものです。
家族で使用している場合はどうなるの?私へのLINEお母さんに聞かれちゃうんじゃないの?という疑問がわき、不安に思いますが、そもそも携帯で使用しているアカウントをこちらに読み込むのではなく、Clova専用にLINEアカウントを新たに追加することでプライバシーを保護しています。それを「家族アカウント」と呼び、つまりは家族共通アカウントで家族間の伝言板や、オープンな外部との連絡ツールにしようということですね。もちろん、自分の部屋に自分専用で置くことも出来ますが、その場合も現状のLINEアカウントとは別に設定する必要があります。
赤外線による家電操作
IoT家電を揃えなくとも、赤外線通信で室内の家電をコントロールしてしまうというこちらの機能もClovaの特長といえると思います。Google HomeやAmazon Echoの場合サードパーティのスマートリモコンを取りつけることで赤外線対応になるのですが、LINE Clova WAVEは単体でその機能を備えています。現時点では国内発売メーカーのTVに対応しており、照明にも対応していくとのことです。アナウンスはされていませんが、時間の問題でエアコンにも対応するのだと思います。エアコンが遅れているのは設定が複雑なのでしょうか。
ちなみにこちらのコンパクト版Clovaと言えるClova FriendsではLINE通話に対応するなど、Clovaと比べて進化した部分もあるのですが、赤外線による家電操作は別の機器をつなげて対応するということで、その対応機器もこれから発売されるそうです。
童話朗読
童話や昔話を読んでくれるらしいです。ラインナップはわかりませんが、メジャーな童話や昔ばなしが用意されているのでしょう。幼児向け絵本なども読み上げてくれるようになると良いですね。
その他
時報や天気、ニュースや占いなど基本的な機能は備えていますし、百科事典として人名や固有名詞やあらゆる事象についても応えてくれるとのこと。
今後LINE Clovaに期待する機能
日本やアジアに向けて独自の発展をしてくれているというところに期待感を抱かせてくれるLINE Clovaですが、今ある機能はほんの手始めで、さらに便利に発展していってくれることと思います。また、サードパーティーのアプリやサービスと連携することでスマホのように無限に拡張していくのだと思います。というわけで、個人的には今後こんな機能の搭載が予想される、期待しますというのを上げてみます。
あらゆるゲーム、対戦の相手
例えば囲碁や将棋はAIスピーカーを相手に対戦できますね。こちらは盤上の手を読み上げれば良いわけで、それに対しClovaは音声で手を返し、ユーザーは二人分のコマ(石)を動かせばよいわけです。AIに期待したいことは、こちらの棋力などすぐにわかると思うので、レベルに合わせた指導対局や接待対局を打ってくれたり、有名棋士のスタイルで対戦してくれたりしてほしいですね。今年中にでも登場しそうな気がします。
そのうちAIスピーカーにはAIカメラも搭載されるでしょう。そうすれば画像認識機能を使って麻雀などにも参加してもらえるようになる気がします。メンツが足りない時に重宝しそうです。
その他、山手線ゲームなど言葉で進める系の遊びにも威力を発揮しそうな気がしますし、数人で酒を飲んでいるなどシチュエーションからそういう遊びを提案してくれると良いなと思います。
朗読系
これはすでに読み上げ機能があって、どんなコンテンツを引っ張ってくるかなので、様々な読み物コンテンツに対応することは直ぐにでも可能でしょう。やっぱり欲しいのは怪談とか怖い話でしょうか。あとは不眠症対策として、「必ず眠れる、社長の訓示」シリーズとかあると良いかもしれません。
幼児・子供の相手
すでに童話や昔話が搭載されていますが、これを子供に与えておけば親が楽になるという機能は確実に重宝されるので、進化が期待される分野ですね。ただ、音声による対話だけでは飽きられてしまうので、表情が変わるとか、二足歩行で歩き回ったり踊って欲しいですね。こうなるとロボットですが、そうなるのは時間の問題だと思います。
あと1〜2歳の幼児は宇宙語と言われる大人が理解出来ない言語を発しますが、幼児が二人いると宇宙語で会話していることもあるそうです。AIならディープラーニングで解読し翻訳してくれるのでは、と期待してしまいますね。
会話に割り込み
Clovaに限らずAIスピーカーの現状の限界であり最大の欠点は、話しかけないと応答してくれないことですね。次世代のAIスピーカーは勝手に雰囲気を察して話に割り込んできてほしいです。例えば数人で話していて、出演作品や役名は出るのだけどタレント名が出ない時「それは綾野剛だよ」とか「佐藤健では?」と教えてくれたり、会話が対立してピリピリムードの時、第三者の視点でうまいこと空気を変えてくれるとか、そこまでくれば欠かせない存在に成りえますね。
本当に望むこと
AIスピーカーがAIだというなら、ただの便利な辞書ではなく賢者であって欲しい。それこそ「世界はどうあるべきか」とか「AIは人類の脅威にならないのか」などの問いに、様々な文献や統計データ、ユーザーが発信する集合意識をラーニングし歴史にも照らし合わせて、本気で答えを探してくれるような存在であってほしいですね。でもAIスピーカーが身近な賢者になってしまうと、多くの人が支持政党をAIに聞くようになったりして、それはそれで恐ろしい未来ですね。
まとめ
単なる検索リモコンでなく、より深く生活に入り込み独自の進化を目指していると思われるLINE Clovaですが、その将来展望を考えますと、おそらく10年後にはかなり進化して今とは別の存在になっているのでは、と思わされます。この進化の行き着く先は家庭用ロボットなのか家族のご意見番なのかわかりませんが、結構大きな存在になっているかもしれません。今はその種がまかれたに過ぎず、過渡期の形なのだと思いますが、すでに価格的にも機能的にも納得のレベルには来ており、LINEの本気度を感じます。自分は検討中です。
商品写真提供:LINE株式会社
この記事を書いた人:
近藤圭介/デザイナー・アートディレクター
多摩美術大学グラフィックデザイン卒業後、広告代理店に勤務しCMプランニングなどをしていたが、その頃には珍しかったMachintoshがある制作会社へ移動。グラフィックはじめ店舗開発や商品企画などいろいろなデザインに携わる。