現在絶賛公開中の映画『長いお別れ』の撮影秘話も


©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋

 
商業デビュー作映画『湯を沸かすほどの熱い愛』が高評価を得た中野量太監督が、直木賞作家・中島京子氏の小説を映画化した『長いお別れ』。今回、山田洋次監督が本作を絶賛したことから、6月9日(日)にTBSラジオ番組にて両監督の特別対談が放送された。
対談前は「今までの宣伝活動の中で一番緊張します」と話していた中野監督。山田監督が発起人となって開催されている、監督同士が集まる「シネマサロン」にて親交があったものの、ゆっくり話したことはなかったとのことで、山田監督も対談を楽しみにしていたという。
山田監督は中野監督について、「こういう家族を描いて的確にユーモラスに描ける監督は今の日本にはそういない。日本映画界に頼もしい監督が現れたなと思いました。うまいなぁと何度も何度も思いました。特に蒼井さんと竹内さんの姉妹が、喫茶店で出会うところの最初の描き方がとてもよかった」と具体的なシーンをあげて絶賛した。
題材とされている認知症について山田監督は「家族が家族でいようとする意志の力が大事。人それぞれが賢くいなければいけない。お父さんを囲む家族3人、孫も含めて賢く生きているなぁと思いました」とし、さらにアメリカでは認知症を「Long Goodbye」とも表現することを知り「とても良い言葉だね。日本は“認知症”と“症”がつくから暗くみえるんだよなぁ」と語った。
両監督が描き続けているテーマ“家族”についての話になると「家族に“見せる”のは簡単だが、家族に“見える”ようにもっていきたいと思っている。いつも撮影前には家族に見える行事を行っている。今回はお父さんが認知症になる前の誕生日会をリハーサルで行いました」と中野監督が話すと、「大事な試みですね。今の若い監督はそこまで今やらないですものね」と山田監督は感心した。


©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋

 
本作での印象に残っているシーンの話になると、山田監督は「遊園地のシーンが好きです。冒頭のメインタイトルが出るシーンが、この映画は面白いぞと思わせる力がある」と絶賛。
また山﨑努の演技については、「感心しました。よく考えて芝居をされていますよね」とべた褒め。さらに今話題の蒼井優さんの演技については「彼女の演技は大したものですよ。非常に魅力がありますよね。何回も違う芝居をできることはすごい。良い役者は、相手の芝居をうまくさせる力がある。自分だけ良い芝居をしようとする役者もいるからね」と会場を笑わせた。蒼井さんについて中野監督は「感情表現が豊か、広いというのか。毎回見たことのない芝居を見せてくれる。だから心を奪われる」とこちらも絶賛した。
中野監督から「キャスティングを選ぶ基準を聞きたい」と山田監督への質問が飛ぶと「やっぱり良い人がいいねぇ。付き合って楽しくない人だと嫌だから、下手くそでもいいから好きになれる人がいい。お前だめだねぇ、もう一回やってみろよ、と言える監督の情愛が作品に映る。蒼井さんは今回、僕に見せる顔でない顔をこの作品で見せている。俳優との人間関係が作品にも反映されるから、とても重要」と山田監督。中野監督は熱心に聞き入っていた。2人は最後に固い握手を交わし、和やかなムードで放送を終えた。

映画情報
映画『長いお別れ』
絶賛公開中!
監督
中野量太
出演
蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努
北村有起哉 中村倫也 杉田雷麟 蒲田優惟人
脚本
中野量太 大野敏哉
原作
中島京子『長いお別れ』(文春文庫刊)
主題歌
優河「めぐる」
公式サイト
公式Facebook
公式Twitter(@nagaiowakare_mv)

©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋

※この記事はauテレビでも掲載されました。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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