上限5,000人の有観客試合で開催中のプロ野球。PL学園出身・元プロ野球選手の野々垣武志が、キーマンとなった選手を取り上げて、セ・リーグ6球団の1週間の死闘を振り返ります。
＜読売ジャイアンツ／菅野 智之／チーム成績：2勝3敗1分け＞
4日の対阪神戦で、菅野智之が右足のスネ付近に打球を受けるハプニングに見舞われた。すぐにボールを拾って一塁に送球しアウトにした後、治療のためベンチに戻った。投手交代かとも思われたが応急処置を行い続投。後続を2塁ゴロに打ち取り勝ち投手となった。菅野にとって2014年以来、2度目の開幕6連勝。この試合はエースとしての意地が見られた試合。絶対的エースがどこまで連勝を延ばせるかに注目したい。
＜横浜DeNAベイスターズ／佐野 恵太／5勝1敗＞
今季は打率.355（リーグ1位）、7本塁打（リーグ10位）、28打点（リーグ5位）とハイアベレージを残している佐野恵太。
注目は8日の対ヤクルト戦。5回にエース・小川泰弘のスライダーを中越へ勝ち越し7号2ランを放ち、チームは2位に浮上。首位・巨人と3差に迫った。佐野はこの日、2安打3打点で打率も.358まで上昇。高打率で安定した成績を残し、穴のないバッティングで相手投手を苦しめている。
＜阪神タイガース／近本 光司／チーム成績：2勝4敗＞
9日までの6連戦では、27打数10安打で打率.370、4打点と絶好調の近本光司。今季トータルの成績では打率.268（リーグ17位）、15打点（リーグ23位）とまずまずの成績を残している。
注目は7日の対広島戦。6点を追う3回1死2塁という場面で、先発・森下暢仁の高め直球を中前適時打。5回にも外角カットボールを左翼線へ適時2塁打。7回は内野安打で出塁し、チーム最多4度目の猛打賞をマークした。
開幕当初は1割台だった打率も上昇し、上り調子。走攻守の活躍に期待したい選手だ。
＜広島東洋カープ／長野 久義／チーム成績：4勝2敗＞
9日までの6連戦では、23打数8安打で打率.348、3本塁打、8打点と絶好調の長野久義。
5日の対ヤクルト戦では1対1で同点の5回に、プロ初先発のヤクルト・大西広樹から決勝打となる勝ち越しの適時二塁打を放った。これで3試合連続打点を記録し、チームの勝利に貢献した。
前日4日は今季1号となる右越え同点スリーランを放ち、逆転勝利の立役者となっている。4試合連続複数安打で8月は打率.444。夏に強い男がいよいよ本領発揮だ。
＜東京ヤクルトスワローズ／宮本 丈／チーム成績：2勝4敗＞
今季の成績は規定打席外ながら打率.308、2本塁打、7打点と昨年の成績を大きく塗り替えている宮本丈。
7日の対横浜戦では2回無死二塁という場面で右翼線へ適時二塁打。5回1死満塁の第3打席では右前適時打を放ち、今季四度目のマルチ安打で勝利に貢献した。2軍で調整中の山田哲人の代役となる活躍に期待したい。
＜中日ドラゴンズ／大野 雄大／チーム成績：3勝1敗2分け＞
7日の対巨人戦で中日のエースが意地を見せた。9回を5安打1失点に封じ、プロ入り初の2試合連続完投勝利で2勝目をゲット。チームの連敗も3で止めた。
圧巻だったのは9回。先頭の坂本勇人を遊ゴロ、主砲の岡本和真をフォークで空振り三振、最後の打者ウィーラーを137キロのツーシームで見逃し三振で試合を締めた。この試合では一発が怖い巨人のクリーンナップを12打席無安打5三振に封じている。
チームでは2012年8月の吉見一起以来となる8年ぶりの2試合連続完投勝利。開幕投手を任されながら6戦勝ち星がなかった今季の大野。だが、開幕から1人ローテーションを守る左腕が、2連勝で波に乗ってきた。
- 文・野々垣武志（ののがき たけし）
- 1971年7月8日生まれ、奈良県桜井市出身。1989年にPL学園からドラフト外で西武ライオンズに入団。同期入団は、ドラフト1位の潮崎哲也、2位の鈴木哲、3位の大塚光二、4位の宮地克彦ら。主に内野手として6年間プレーし、1995年にトレードで広島東洋カープに移籍し、代打の切り札として活躍した。2001年からはダイエーホークスに2年間在籍。その後は台湾プロ野球の誠泰太陽に移籍し、14年間の現役生活に幕を下ろした。現在は野球指導者、YouTuberとして活躍している。
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