「堕落論」「白痴」などで知られる坂口安吾の推理小説を原作とした新型サスペンス時代劇が幕を開ける。明治初期を舞台に、洋行帰りの探偵・結城新十郎が次々に起こる奇妙な事件の真相に切り込んでいく本作。歴史上の要人と渡り合う新十郎を演じるのは福士蒼汰。そして新十郎にほれ込む大政商の娘・梨江を内田理央が演じる。新型コロナウィルスによる自粛期間を挟みながら撮影し、世の中の価値観が変わった今、2人が思う作品への思いとはどんなものだったのか。キャラクターの魅力と物語の見どころとともに聞いた。

「新十郎は恋愛が一番の難事件だと思っている気がする」(福士)
「梨江の初恋感みたいなものを意識して演じました」(内田)

――新十郎と梨江はどんな人物でしょうか。
福士「新十郎は洋行帰りで、語学も堪能、知識も豊富。シャーロック・ホームズを彷彿とさせるような名探偵ですが、偏屈な人間です」

内田「ちょっと変り者ですよね(笑)。英語が堪能なので、こっちが絶対わからないのに普通に英語でしゃべってくるんです」

福士「しかも急な言動が多いんです(笑)」

内田「でも、ほかの誰とも違う視点で物事を見て事件を解決する姿や佇まいはミステリアスで、誰が見てもかっこいいと思います。私が演じる梨江は、当時の日本では珍しくすごく気が強く、自分の意見もしっかりと言える女性です。第1回から新十郎の頬をビンタするような、ちょっとじゃじゃ馬な女性ですが、徐々に新十郎に恋心を抱いていくので、だんだんかわいらしさや乙女な感じも出てくるんです。新十郎との二人のシーンでは梨江の初恋感みたいなものを意識して演じました」

福士「梨江は乙女ですよね。恋心はあるんだけど、それを表に出していいのか迷って、出そうと思っても出せないみたいな…。淡い青春時代を思い出させるような恋愛です。でも新十郎にとっては恋愛が一番の難事件だと思っているので、僕は梨江とのシーンでは“恋心”を逆に意識しないように演じました。新十郎自身、奥手なので、梨江の思いとはなかなかかみ合わないんですけど、そんな二人だからこその関係性がいいなと思います。あと梨江はお金持ち!というところも魅力です(笑)」

内田「そこ?(笑)でもそれはストーリー上も重要ですよね」

福士「たいてい梨江が事件を持ってくるし、事件を解決するためのなにかも持ってきてくれますから」

内田「資金とかね(笑)」

――英語を流暢に話す新十郎とお嬢様の梨江ですが、演じる際に苦労したことはありますか?
福士「第1回の冒頭からボストンの友人と話すシーンがあったり、劇中も英語のセリフがあるので少し心配でしたが、完成した映像を見てみると、よかったところも、もうちょっとだったなというところもが出てきて、初めてのお芝居を見ているような、生まれたてのセリフを見ているような感じがしました」

内田「福士さんの英語は本当に上手で、普段からたくさん勉強されているので、すごかったです」

福士「ありがとうございます。英語、そういえば一緒に英語の勉強しましたよね」

内田「英語クイズを出してくださったり、簡単な英語の言葉を教えてくださいました。休憩中、楽屋に戻ると福士さんの部屋から英語が聞こえてくることもあって」

福士「聞こえてたんですね…。恥ずかしいな(笑)」

内田「“今も勉強してるんだ!”と思って、ちょっと楽しかったです(笑)。私のほうは、苦労したことといっても衣装が袴やドレスだったので、着物ほどは所作が難しくなかったです。でも所作指導の先生にレースの手袋や傘、バックの持ち方、手の動かし方など、エレガントな立ち振る舞いを教えていただき、すごく勉強になりました」

――新十郎も梨江も衣装が素敵です。
福士「新十郎は、羽織は和だけど、中に着ているのはレザーのベストに洋装のパンツ、さらにハットをかぶっていて、和洋折衷という言葉がぴったりだと思います。当時はフォーマルなスーツを着ている人と和服の人で分かれていて、和装と洋装が混ざった新十郎は完全に少数派。でも僕は以前から和服と洋服は合うんじゃないかと思っていたので、今回はビジュアルもすごく楽しかったです。新十郎が着ているレザーのベストも、実は僕がアイデアを出したんです。当時はまだレザーの服はないと思いますが、衣装さんが作ってくださって、すごく嬉しかったです」

内田「梨江も当時の最先端のおしゃれをしています。ただ、明治初期の女性の最先端のファッションの資料が少ないらしく、衣装さんがすごく考えてくださいました。袴にブラウスにブーツと言う出で立ちですが、当時実際に流通していた最先端のものを、お金持ちだから身に着けているというこだわりの衣装です!」

――第1回の仮装会での恰好も注目ですよね。
内田「はい。ミロのヴィーナス姿をしています」

福士「あのシーン、印象に残っています!」

内田「自分で見て恥ずかしかった!“ヴィーナスの顔してください”と言われたので、挑戦してみました(笑)」

エンターテイメントで描く坂口安吾の世界

――本作は、文豪・坂口安吾の「堕落論」の一説から始まり、坂口安吾の世界観にグッと引き込まれます。
福士「今回、出演させていただくことになり、初めて『堕落論』を読みましたが、独特な言い回しや言葉、当時の文語体の書き方もあり、理解することが難しかったです。でも、その時代を生きて、その時代を客観的に捉えて、新十郎風に言うと“クリスタライズ(※)”しているというのでしょうか。まさに人間の本質を具体化・体現化している印象を受けました」

内田「私は今まで坂口安吾さんのお名前しか知らなかったのですが、今回のドラマをきっかけに安吾さんについて調べ、中でもドラマの最初に出てくる一文にはすごくハッとさせられました」

福士「そういえば、今回の撮影中に内田さんに日本の文豪をモデルにしたキャラクターが登場する『文豪ストレイドックス』というアニメの話をしたんですけど、その作品の中に安吾も出てくるんですよね」

内田「教えていただいて見ました!」

福士「嬉しいです!あの安吾もすごく独特なキャラですよね」

内田「そうそう。すごくおもしろかったです」

福士「実は撮影中に現場に安吾さんの息子さんがいらっしゃったんです。安吾さんのことは写真でしか拝見したことがないですし、勝手に寡黙なイメージを持っていたんですけど、息子さんはすごくパワフルな方で、ハットをかぶっておしゃれでかっこいいというのが第一印象でした」

内田「かっこよかったですよね。安吾さんのDNAを感じてなんだか感動してしまいました。第4回に“林肯会(りんかんかい)”というのが出てくるのですが、なんとその中の一人として安吾さんの息子さんも出演してくださっているんですよ」

※クリスタライズ(結晶化)……物事を具体化して表現すること。

時代の変わり目に感じた役者としての思い

――本作では撮影が新型コロナの影響で途中二か月あいたそうですね。
福士「はい。撮影再開後は、手と靴などのアルコール消毒や、マスクにフェイスガードをして臨みました。相手の顔があまり見えないので戸惑いもあったんですけど、でもなにより芝居ができるという喜びが大きかったです。撮影が残り3話分くらいあったので、二か月の間に新十郎をこの先どのように演じていこうかと考えることができたので、時間を有意義に使って取り組めたと思います」

内田「最初のころの撮影は寒かったのに、再開後はすごく暑くて、季節が移り変わっているんだなと感じました。でも、二か月あいて撮影に戻ったときにスタッフの方に、“すごくリラックスしてできるようになったね”と言われたんです。それはきっとみんなに会えたことや、また現場に行けてすごく楽しい、よかった!という喜びの気持ちが強かったからだと思います」

――今回のことで役者としての価値観は変わりましたか?
福士「少し変わったと思います。以前は俳優の仕事の意味や存在価値について自信を持てない部分があったのですが、このようなコロナ禍の状況でもドラマを見たいとか、舞台をやってほしいといった声をいただいたことで“この仕事をやっていいんだ”と自信になりました。僕たちの仕事は生きる上で必要不可欠ではないかもしれないけど、一方で精神的には必要なものかもしれないと感じています」

内田「私も、以前はお仕事がつまっていると、“ああ、明日ロケだ、明日もがんばらなきゃ…!”みたいに思っていたんですけど、自粛期間を経て、“早く仕事したい!”と素直に思うようになりました。当たり前のことが当たり前にできなくなったときにその大切さだったり感謝の気持ちを改めて感じることができたので、今は前よりももっともっと楽しくお仕事できるようになりました」

明治初期と通じる今だからこそ見てほしい新しい時代劇

――勝海舟や西郷隆盛といった歴史上の人物も登場しますが。
福士「史実にもとづきながら、実在の人物である勝海舟や西郷隆盛に新十郎が絡んでいくのはすごく新しいですよね。西郷さんは鶴見慎吾さんが演じているのですが、僕は“この西郷さん好きだ”と思いました。また、高橋克典さん演じる勝さんはすごくリアル。それでいてエネルギッシュなんです。そんな勝さん一家と新十郎がどう馴染んでいくのかも見てほしいです」

内田「明治開化といわれる時代なので、活気あふれた人たちや街並みが再現されていて、馬車に乗ってその様子を見たときは本当にタイムスリップしたかのように思いました。でもそんな華やかな部分の裏には闇の部分があって、混沌とした時代でもある。そのちょっと暗い部分に落ちてしまった人たちが罪を犯してしまうのですが、今を生きる私たちも共感できる部分もあると思います」

福士「坂口安吾の世界を現代に通じるように落とし込んでいるので、現代と明治の時代が重なる部分があると思います。ミステリーものとしてのおもしろさはもちろん、新十郎と梨江とのちょっとした恋心みたいなものも描かれているので若い世代の方も見やすいと思いますし、勝海舟や西郷隆盛らが生きた時代を歴史にのっとって描いているので、従来の時代劇ファンの方にも楽しんでいただけると思います!」

――ありがとうございました!

ドラマ情報
BS時代劇『明治開化 新十郎探偵帖』12月11日(金)放送スタート
BSプレミアム・BS4K よる8時から8時43分

あらすじ
文明開化に色めきたつ明治初期。時代が大きく変貌を遂げ、時代に取り残されたものも多くいる混沌とした時代に奇妙な事件が多発する。大政商人・加納家にて政府要人が集まる仮装会の最中、主人の加納五兵衛(モロ師岡)が、妻・アツ子(花總まり)の前で殺害された。事件に挑むのは、警視庁の信望厚い洋行帰りの探偵・結城新十郎(福士蒼汰)。勝海舟の元剣術の教え子で、新十郎の自称相棒・泉山虎之介(矢本悠馬)と共に捜査が始まる。事件の犯人として加納家の一人娘・梨江(内田理央)が疑われるが…。堕落した人間の本性をも暴き出す新十郎の鮮やかな謎解きが始まる!

出演者
福士蒼汰、内田理央
矢本悠馬、勝村政信、中村靖日、篠井英介、鶴見辰吾、稲森いずみ、高橋克典

原作
坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖」

脚本
小松江里子、伊藤靖朗

撮影:島村緑/取材・文:藤波由香

プレゼント

福士蒼汰さんと内田理央さんのサイン入り写真を2名様にプレゼント!

賞品

福士蒼汰さんと内田理央さんのサイン入り写真

当選者数

2名様

応募期間

2020年12月9日(水)~12月16日(水) 

応募条件

1.Twitterアカウントをお持ちでTwitterアカウント「@WillMediad」をフォローしていること。
2.Twitterアカウントをお持ちで本キャンペーン指定のツイートをリツイートしていること。
※引用ツイートはご応募の対象になりませんのでご注意ください。
※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でご参加ください。
※日本国内に在住で賞品の配送先が日本国内の方。
※未成年の方は保護者の方がご応募ください。

手順
1.Twitterアカウント「@WillMediad」をフォロー。
2.Twitterアカウントで本キャンペーン指定のツイートをリツイート。
3.上記で応募は完了です。

当選発表と商品配送までの流れ

2020年12月下旬頃に当選された方にキャンペーン事務局からTwitterのDM(ダイレクトメッセージ)にて、当選通知を行います。その際に賞品配送方法についてをご連絡させていただきます。(「@WillMediad」アカウントのフォローをはずされておりますと当選連絡ができなくなりますので、ご注意ください。)
※賞品配送は、2021年1月頃を予定しております。
※住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、ご当選を無効とさせていただきます。
※TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)にてご住所をご案内頂けない場合にはご当選の権利が無効となりますのでご注意ください。

その他の注意事項

・本キャンペーンについては下記をお読みいただき、ご同意いただける場合のみご応募ください。
・応募者は本応募規約に従うものとし、一切異議申立てを行わないものとします。
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※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)
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本キャンペーンは、ウィルメディア株式会社が運営しております。
適正な運営を行う為に本キャンペーンの応募条件変更等、あらゆる対応をとることができるものとさせていただきます。あらかじめご了承ください。

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