第13回冒頭に初登場し、囲碁をする姿が印象的だった薩摩藩士・五代才助。今後、パリ万国博覧会で、幕府側の一員として参加していた渋沢栄一(吉沢亮)と出会うことになります。後に「西の五代、東の渋沢」と称される実業家となる五代を演じるのは、大河ドラマ初出演のディーン・フジオカさん。五代役は2015年の連続テレビ小説『あさが来た』以来二度目となります。再び五代を演じることへの思い、そして『青天を衝け』で挑戦する新たな五代の人物像についてお聞きしました。
「後世に残したい五代さんの知恵や思いを全身で受け止めて演じています」
――二度目の五代才助(友厚)役を大河ドラマで演じることになり、驚いたのではないでしょうか。
「今回お話をいただいたときは率直にとても嬉しかったですし、興奮しました。時空を超えた五代さんとの不思議な縁を感じました。偉大な先輩を再び演じさせていただけることがすごく光栄です。また、日本で演技の仕事をするなかで、大河ドラマは一度経験してみたいという気持ちがあり、今回、念願が叶いました」
――『あさが来た』と同じ大森美香さん脚本による今回の五代役。なにか通じるものはありますか?
「“朝ドラ” と今回の大河ドラマを地続きに考えてはないですし、役作りで以前の五代さんを踏襲して演じようとも思っていないんです。というのも、クランクインした日にいろいろな演出をつけていただくなかで、『あさが来た』の五代さんとはまったくアプローチが違うのを明確に感じました。それがすごくフレッシュで、新しいことに挑戦しているわくわく感があったので、 “朝ドラ”を引きずらずに演じようと改めて思いました。ただ今回も大森さんが書かれる脚本には、五代友厚というキャラクターの魅力や彼の思想、成し遂げた偉業を現代の人たちに伝えようと、いろいろな仕掛けがあります。僕もそんな脚本を通して、後世に残したい五代さんの知恵や思いを全身で受け止めて演じています」
――では、『青天を衝け』ならではの五代の人物像、『あさが来た』との違いを教えてください。
「『あさが来た』は大阪ことばでしたが、今回は薩摩ことばですし、多言語を話すシーンがあります。あとは、ワイルドで型にはまらないキャラクターになっていますね。撮影初日に第13回の初登場シーンを撮ったのですが、古いしきたりや形骸化しているものをさわやかに捨て去って、風が突き抜けていくように新しい時代の訪れを予感させる演出でした。“朝ドラ”のときにはそのようなシーンも演技もなかったので、いい意味で以前の五代さんのイメージを吹っ飛ばされ、キレイなスタートをきれました。心地よかったです(笑)」
――たしかに初登場の囲碁のシーンは話し方も目つきも印象的でした。
「あのシーンは今回の五代さんを象徴していると思います。 “捨小就大(しゃしょうしゅうだい)”というセリフがありましたが、優先順位があるなかで小を捨てて大を求めていくということは僕も正しいなと思いました。リスクがあるかもしれないけれど、現実を真正面から受け止め、先見性を持って着実に未来に向かって進んでいく。大森さんが書かれるセリフに毎回ハッとさせられています」
――今後、渋沢栄一との関係がどのように描かれていくのか期待しています!
「“西の五代、東の渋沢”といわれる二人ですから、この先の展開がどうなるのか、僕もすごく楽しみです。新しい時代をつくっていくときに、同じビジョンを持った人たちが競いあい高めあうことがあると思います。今回、五代友厚というキャラクターがその役割を担っているのではないかと思っています」
≫大河ドラマ『青天を衝け』(番組公式ページ)