コロナ禍で急速にテレワークが広まりました。自宅やその他の仕事場から通信をする際の安全性は確保できていますか。ここでは通信内容の傍受や、なりすましアクセスポイントなどフリーWi-fiの危険性をお伝えします。
VPNとは?
VPNとは、Virtual Private Networkの略で「仮想プライベートネットワーク」「仮想専用線」を意味します。以前は固定された電話回線を専用線として使っていましたが、最近ではもっぱらインターネット回線を利用したデータ通信を指します。データは認証や暗号化で厳重に保護・管理されるため、混信や漏洩、盗聴などの危険性が低いことが特徴です。テレワークで使用する場合には、パソコンやモバイル端末から社内システムに接続するVPNを用いることになります。また個人でVPNを利用するときは、個人向けのVPNサービスか、自宅の無線LANルーターのVPNサーバー機能を使う方法があります。もしくは専用のソフトやアプリを使うこともできます。
フリーWi-fiを使用するとどのような危険があるの?
近頃は、公共施設やカフェ、コンビニなどの場所で誰でも無料で利用できるWi-fiスポットが多く提供されています。これらは便利ですが、同時に情報漏えいのリスクをはらんでいます。
通信内容の傍受
フリーWi-fiでは、通信が盗聴やのぞき見をされる可能性があります。利用者の通信内容が同じフリーWi-fiに接続している第三者によって取得されてしまうということです。これにより送受信したメールの内容や、WEBサイトのIDやパスワードが漏洩する危険があります。また、悪意ある人物によって偽サイトに誘導するためのメールを送りつけるなどしてウイルスに感染させられ、パスワードを盗まれるといった攻撃を受けることも考えられます。
なりすましアクセスポイント
「なりすましアクセスポイント」とは、お店などが正規に提供しているWi-Fiに似せていたり、同じネットワーク名に偽装したアクセスポイントのことです。誤って利用してしまうとネットワークに介入して通信内容を盗み見たられたり、フィッシングサイトに誘導されたり、マルウェアをダウンロードさせられたりなどの被害に遭うケースもあります。
外出先でフリーWi-fiを利用するときは、掲示されているステッカー等で接続先の名前(SSID)やセキュリティ対策を確認してから利用しましょう。
VPNを使うと通信速度が遅くなるって本当?
安全性が高いというメリットの一方で、VPNには通信が遅くなりやすいというデメリットがあります。よくある原因をご紹介します。
VPNサーバーの容量オーバー
VPNは既存のインターネット回線を介して拠点に専用の機器を設け、通信を暗号化しています。
通信のセキュリティが高い反面、同じ回線を利用するユーザが多いためどうしても通信速度が遅くなってしまいます。
更に、高度な暗号化を行うこともサーバーの負担を大きくしています。
表示するWebページのサイズが大きい
通信速度に問題がなくても、開くページの容量によって読み込みが遅くなる場合があります。
デジタルカメラ・スマートフォンの画像をそのまま貼り付けているページやレイアウトが複雑なページは特に読み込みが遅いです。
同じページを見ている人数が多い
同じサイトやページを見ているユーザが多ければVPNの通信速度は低下します。サーバはユーザからリクエストを受けたページのデータ転送を行います。したがって、リクエストを受けたページやサイトへのアクセスが集中してしまうとサーバのデータ転送量が多くなり、通信速度の低下を招いてしまうのです。
VPNサーバーまでの距離が遠い
VPNの通信速度は接続先までの距離に影響を受けます。したがって、接続先までの通信距離が遠いほど通信にかかる時間が長くなります。
ウイルス対策ソフトの影響
セキュリティソフトは、監視を行ったり通信データを処理したりしているため、PCに負担がかかります。
MTUの調整ができていない
MTUとは、Maximum Transmission Unitの略で、通信機器で一度に送信できるデータ量の上限のことを言います。VPNルーターとデバイスはそれぞれMTUの値が決められており、送信するデータ量がMTUの設定値を超えた場合、データを分割して送信する仕組みとなっています。
スマホでVPNを使う方法は?
出張中やテレワークで移動の合間に、社内ネットワークへスマホからアクセスする機会がある方は、それに備えてスマホからもVPNを使用できるようにしておく必要があります。また、私用でネットバンキングやネット通販を使用する場面にも有効です。VPNを使ってリモートアクセスをする際、使用するスマートフォンにVPNのセットアップが必要となります。
使用するスマートフォンのOSが「iOS」「Android」の場合には、VPNのインストールをしなくても、「L2TP/IPsec」などの接続機能を使用して、端末設定のみでVPN接続が可能です。もし使用できない場合には、iOS、Android対応の「OpenVPN」アプリをインストールして接続する方法もあります。
おわりに
今回は、フリーWi-fiの危険性やVPNのメリット・デメリットに関してお伝えしました。
VPNのデメリットは通信が遅くなってしまうケースがあることですが、テレワークでは社内情報や大事なデータを扱うことがあるため、なにより安全性が重要です。
安易にフリーWi-fiに接続せず、用途や状況にあわせてVPNを使用していきましょう。