人情派エンタメプロデュースユニット「シス×ブロ」舞台作品の第2弾は、昨年の夏に上演され好評を博した二人芝居「SIS×BRO ひざ小僧の戯れ」のミュージカル版。ひょんなことから人生が入れ替わったおじさんとおばさんのちょっぴり切なくてがっつり笑える物語が展開される。今回は、前作同様“おばさん”の愛花を演じた林希と、某キャラクターに似た“神様”ひざえもん役の浜崎香帆の対談をお届け。東京パフォーマンスドール(無期限活動休止中)でもダンス&芝居の“先生と生徒”という関係の2人に本作の見どころや稽古中のエピソード、一つだけ叶うとしたら何を願うかなどを語ってもらった。
「今のままの自分でいいんだと思ってもらえたらうれしい」(林)
「ふざけられる時はできるだけふざけていこうと思っています」(浜崎)
――昨年、上演された本作は2人芝居でしたが、もともとミュージカル化も考えていたんですか?
林「『シス×ブロ』の旗揚げ公演は何をしようかってSHUNくん(大村俊介)と話した時に、やっぱりお芝居だよねってなって。ミュージカル要素が全くないどストレートプレイの2人芝居に挑戦したんです。でも、やっている時にこの2人だったら歌ったり踊ったりしたほうがよりお客さんも楽しめるのかなと感じて。ただ、おじさんとおばさんが入れ替わるだけの話をミュージカルにしたらもっと面白くなるかもしれないと思ったんです。それで、せっかくミュージカルをやるなら作品のカギを握るキャラクターのひざえもんはしっかりと歌える人、面白い人がいいなと思って誰かいないかなって探していたんです」
――それで“教え子”である香帆さんを抜擢したんですね?
林「実は香帆の名前を挙げたのは私じゃなくてSHUNくんなんです。ひざえもんってちょっと特殊というか変な役なので(笑)。私の中では香帆のようなかわいい子のイメージがなかったからびっくりしました。でも、かわいいひざえもんもアリかもねと思ったし、SHUNくんから香帆の名前を出してくれたことがすごくうれしかったんです」
ひざえもん役のオファーが来た時の感想は?
浜崎「前回の2人芝居を観させていただいて、すごくツボにハマったんです。私は、ひざえもんというキャラクターが大好きで。今までコメディー要素がある作品で役を演じた経験がなくて、いつか挑戦してみたいなと思っていたところにこのお話をいただいたのでうれしかったです」
――“ちょっぴり切なく、がっつり笑える”ストーリーの見どころは?
林「仕事一本で生きてきた中で、それぞれ悩みを抱えるおじさんとおばさんが入れ替わるという普通じゃありえない話ですけど最初は思いっきり笑って、でも最後にホッとできるのかなと。見ている人にそうなってほしいですし、楽しかったなって笑顔になって帰ってもらいたい。そういう作品だよね?」
浜崎「私は本読みの時に泣いちゃいました」
林「泣いてたよね。SHUNくんもいろんな思いが出て泣き出しちゃって『まだ本読みなのにみんな早いよ』って言ってた私も曲が流れた瞬間に泣いちゃったんです(笑)」
浜崎「脚本はもちろん、それに合わせた音楽もすごくよくて。感情が高まっているところに追い打ちをかけてくる感じがたまらないんです」
林「音楽もいいよね。脚本の金房(実加)さんが私たちのために書いてくれて、おじさんとおばさんのキャラクターもある程度あて書きのような感じなので共感できるところはありますね」
――そんな中で、ひざえもんはどんなキャラクターなんですか?
浜崎「あるところに、ひざえもんしか知らない“入れ替われる場所”があるんです。ひざえもんは、そこに建てられた石像。最初は魔法が解けた状態で出てきます」
林「まぁ、あれですよ(かくし芸大会の)ハナ肇スタイルですよ(笑)」
――ある世代には分かりやすい例えですね(笑)。今まで演じてきたキャラクターとは全然違いますよね?
浜崎「そうなんです。私は結構考え過ぎちゃうタイプなんですけど、今回は自由に考えて好きなようにやっています。何かあったらSHUNさんと希さんが全部助けてくれるだろうっていう気持ちで」
林「いや、こっちもそうですよ。私たちもセリフが飛んだら香帆に聞こうってSHUNくんと話していたんです。『ねえ、ひざえもん。私は何が言いたかったんだっけ…?』って(笑)」
――それでも成立しそうですよね(笑)。今回は、香帆さんからもひざえもんを演じる上でいろいろアイデアを出しているとか?
浜崎「もともと脚本では関西弁のセリフなんですけど、どうやってもえせ関西弁になってしまうので。私といえば博多弁かなと思って、最初から好きなようにやらせてもらっていました」
林「そうやって自分から提案してきてくれるっていうのが本当にうれしくて。面白いから歌詞も博多弁に変えたんです。初めて博多弁の歌を聞いた時は「かわいい~!」と思いました。前回の“元祖ひざえもん”(柳橋さやか)と全然違うキャラクターになっています」
浜崎「今回、ひざえもんはトリプルキャストということで大ベテランの西海(健二郎)さんと元祖ひざえもんのさやかさんに挟まれていますから、何かしら仕掛けないといけないなと。アイドルの経験を武器にしても、かわいく演じるだけじゃちょっと通用しないなと思ったんです」
林「偉い!もちろん、ただただかわいいだけなんてことはやらせないけどね(笑)」
浜崎「頑張ります!(笑)」
――コメディーセンスが抜群だという声を耳にしましたが。
浜崎「そんなことはないと思いますけど、昔からおふざけすることが大好き。今回の舞台でも、ふざけられる時はできるだけふざけていこうかなと思っています」
林「とにかく普段からケラケラ笑っていて天真爛漫を絵に描いたような子。さやかのくだらないギャグでもずっと笑っていますから」
浜崎「さやかさんは本当に面白いんです」
――そもそも東京パフォーマンスドールのメンバーも個性豊かですもんね。
浜崎「みんなキャラクターが濃いですね」
林「ただの天然の集まりやろ(笑)」
――稽古は順調ですか?
林「日々、セリフと闘っています。2時間弱の公演を3人で回すので私とSHUNくんだけじゃなく、ひざえもん役もかなりセリフが多い。今はみんな己との闘いです」
浜崎「ひざえもんは、シーンを切り替えさせなきゃいけないキャラクター。うまく2人を乗せられるようなお芝居をしなければいけないなと思っています」
林「心強い言葉だなぁ。ついていきます!」
――きっかけを作る重要なポジションということですね。
浜崎「だから、セリフが飛んだら終わりです」
林「その時は、SHUNくんと2人でじーっと見るから(笑)」
――林さんが演じる愛花は「男になりたい」と思っていますが、お2人にも同じ願望はありますか?
林「全くないですね。劇中のセリフにもあるんですけど、女にしかできないことって山ほどあるなって。今は昔のような男尊女卑の時代ではなく女もパワフルに生きられる時代になってきているから生まれ変われるとしてももう一回女になりたいです」
浜崎「私は男性になりたいと思ったことがあります。今は女性が楽しいですけど、生まれ変わったら男性アイドルになって女の子たちからキャーキャー言われたいです」
林「性格も少年みたいだもんね」
浜崎「そうですね。割と体育会系の性格をしております(笑)」
――願いを叶えてくれるひざえもんに何か一つ“お願い”をするとしたら?
林「う~ん、何やろ。やっぱり、宝くじかな?当たったら稽古場と劇場を作って、もっとエンタメを発信できる基盤を作りたいですね」
浜崎「私は練習をしないと何もできないタイプなので、天才肌というか何でもできる運動神経が欲しい。野球のキャッチャーとしてパリオリンピックに出て金メダルを取りたいです」
――昨年の9月に東京パフォーマンスドールが活動を休止して1年が経ちました。香帆さんの今後の目標をお聞かせください。
浜崎「定期的にあったライブや仕事がなくなってどうしようかなって思っていたんですけど、また舞台に立たせてもらったり、今回も声を掛けていただいて。また改めて頑張っていこうと思いました。私は舞台が大好きなので、もし親になったとしても子どもから『お母さん、カッコいい!』と言ってもらえるようにこれからもコツコツとお芝居を続けていきたいです」
林「これは昔からずっと言っているんですけど“帝劇”に立っている香帆を見たい。もちろん、今回のようなコメディーもやり続けてほしいですけど、帝国劇場で上演されるような作品に出ている香帆の芝居を見るのが私の夢です」
――ありがとうございます。11月の公演が楽しみです!
林「今回のオリジナルソングの“今の自分もっと好きになれたら 全部もっとちゃんと好きになれたら”という歌詞が大好きで。この不安な時期に、私ってこのままでいいのかなって思っている人にもっともっと自分の良さに気付いて、今のままの自分でいいんだと思ってもらえたらうれしいです」
浜崎「ひざえもんは、自分にとって挑戦だなと思えるようなやりがいのある役。今までの私とは違う姿が見られるかもしれません。ぜひ、劇場に観に来てください!」
舞台「SISxBRO ひざ小僧の戯れ =THE MUSICAL=」
11月9日(水)~13日(日) 会場:ウッディシアター中目黒あらすじ
人生の折り返しを過ぎた公務員の達彦(大村俊介:SHUN)と一流商社勤務の愛花(林希)。人には言えない悩みを抱えている2人は近所の小さな神社を参拝することが日課だった。そんなある日、境内で出会った達彦と愛花は大きな地震に遭遇。その後、祀られていたドラ◯もん似の神様“ひざえもん”(西海健二郎/柳橋さやか/浜崎香帆 ※トリプルキャスト)から「参拝者1000人達成記念に一つだけ願いを叶えてやる」と言われた2人は女になりたい達彦と男になりたい愛花の望みが一致し、お互いの中身が入れ替わることに。しかし、変わりたかったのは性別だけ。なぜか人生までそっくりそのまま入れ替わってしまった2人は納得がいかないものの、望み通りの幸せを手に入れようと頑張るが…。出演
林希、大村俊介(SHUN)、西海健二郎/柳橋さやか/浜崎香帆演出・振付/総合プロデュース
シス×ブロ脚本
金房実加音楽
鎌田雅人
- チケット発売情報
前売・当日(全席指定) 7,000円(税込)
■CNプレイガイド
http://www.cnplayguide.com/sis-bro/
TEL:0570-08-9999(10:00~18:00)
※オペレーター対応
店頭:ファミリーマート店内マルチコピー機■セブンチケット
http://7ticket.jp/sp/sis-bro
店頭:セブンイレブン各店