劇場公開を前に、ジェンキンス監督の初来日が実現

 
アカデミー賞®作品賞受賞『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督最新作『ビール・ストリートの恋人たち』が2月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開される。第91回アカデミー賞ノミネーションで、脚色、助演女優、作曲の3部門に見事ノミネートを果たした本作。劇場公開を前に、ジェンキンス監督の初来日が実現。
監督の前作『ムーンライト』を絶賛し、その才能に惚れ込んだ「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして活躍するコムアイさんを特別ゲストに、公開記念トークイショーが開催された。
熱気が充満する会場へ、満を持して登場したジェンキンス監督。開口一番「初めての来日ですが、とても楽しんでいます。素敵な国ですね。到着したときの飛行機からの風景がすごく美しくて感動しました。明日、僕のツイッターで紹介しますよ」と冗談まじりに挨拶。
前作『ムーンライト』に続き、2作連続でのオスカー受賞が期待され、その心境を聞かれると「ワクワクしているよ。でも、去年はちょっとした事件があったからね。トラウマだよ(笑)」と昨年の作品賞受賞時のハプニングを皮肉交じりに振り返って、会場を盛り上げた。
和やかなトークが進むなか、特別ゲストとしてコムアイさんが豪華な花束を持って登場。当日がバレンタイン・イブということもあって、映画に登場する主人公のティッシュとファニーのカップルをデザインした、オリジナル・チョコレートのプレゼント。ジェンキンス監督はまさかのプレゼントに大喜びだった。
コムアイが「甘い空気と厳しい現実が交互に押し寄せてくる映画。その中で、逆境をはねのけて立ち向かう、生命力を感じられました。感情のゆらぎというものをすごく感じた」と本作を絶賛。監督は少し照れつつ「映画の評論家のようなコメントだ。アリガトウ」と日本語で御礼した。
続いて「なぜ、ヨーロッパでこの映画の脚本を執筆したのか」を聞かれると、「アジアは遠いからね」とすかさず冗談で場内を和ませる監督。「(原作者の)ボールドウィンもあちこち旅をしながら、小説を書き進めていたそうなんだ。だから僕も、旅をしながら脚本を執筆してみたかったんだよ」と、脚本執筆時の心境を告白し、「あの頃は、実際に映画として発表できるか否かよりも、自分が本当にやりたいと思ったことを進める、クリエイティブへの愛を貫きたかったんだ。」と話した。
同じく自身もアーティストとして作曲などを手がけるコムアイさんは「今の言葉にすごく感動しました。どんな人生を生きる人もそうだと思うけど、やっぱり愛が前提の行動をしたいですよね」と強く共感。しかし「でも、人はお金を稼いで食べていかないといけないからね(笑)」と冗談で切り替えし、ジェンキンス監督のキュートで茶目っ気たっぷりな人柄がにじみ出るイベントだった。
ジェンキンス監督は最後に「実はこの映画は小津安二郎監督の『東京物語』にも影響を受けている。『東京物語』で使われた、キャラクターがカメラに向かって演技する、という手法を取り入れている。映画の中キャラクターと直接目を合わせて、映画を体感できるんだ。日本ではあまり身近ではないかもしれないけど、黒人のロマンチックな愛と現実が描かれたこの物語を、少しでも体験してみてほしい。この映画は、僕から皆さんへの招待状なんだよ」を本作をアピールし、会場を後にした。

映画情報
タイトル
映画『ビール・ストリートの恋人たち』
2月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
1970年代、ニューヨーク。幼い頃から共に育ち、強い絆で結ばれた19歳のティッシュと22歳の恋人ファニー。互いに運命の相手を見出し幸せな日々を送っていたある日、ファニーが無実の罪で逮捕されてしまう。二人の愛を守るため、彼女とその家族はファニーを助け出そうと奔走するが、様々な困難が待ち受けていた…。
出演
キキ・レイン/ステファン・ジェームス/レジ―ナ・キング 他
監督・脚本
バリー・ジェンキンス
原作
ジェイムズ・ボールドウィン「ビール・ストリートの恋人たち」(早川書房刊)
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
オフィシャルサイト

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※この記事はauテレビでも掲載されました。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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