出演者たちが語るタイガーと新宿への想い
©「新宿タイガー」の映画を作る会
新宿で40年以上、虎のお面を被ってド派手な格好をし、新聞配達をしている男。人呼んで“新宿タイガー”!新宿タイガーとは一体何者か、そして、その新宿タイガーを受け入れる“新宿”の街が担ってきた歴史的役割と、その魅力に迫ったドキュメンタリー映画『新宿タイガー』が、ナレーションに女優の寺島しのぶを迎えて堂々完成。初日舞台挨拶では、出演者たちが作品に対する思いをそれぞれ語った。
当初は硬派なドキュメンタリーにする予定が、途中で変わった理由を聞かれた佐藤慶紀監督は、「新宿は色々な歴史があるので、最初はもっと新宿を考察することを考えていたんですけれど、タイガーさんはロマンを前面に打ち出して生きている方なので、タイガーさんと接するうちに、それに僕も引き寄せられて行きました」と話した。
大阪アジアン映画祭に正式出品されたことで、大阪の観客の反応を聞かれた佐藤監督は、「観た方は、とても熱狂的に『面白い!東京にこんな方がいるのか!』とおっしゃいました。タクシーに乗った時に運転手さんにチラシを渡したら、『絶対見る!虎の町だから!』と言われました」というエピソードを話して、会場を沸かせた。
映画館で『ローマの休日』を見ているシーンがあり、大好きだというオードリーとスクリーンで共演できた新宿タイガーは、「オードリー・ヘップバーンと一緒に夢を見られて、この上ない喜びです!」と喜びを隠せなかった。
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女優の睡蓮みどりは、「見れば見るほど、タイガーさんのことが分からなくなっていくのがこの映画の魅力。ディープな世界へようこそ」、ゴールデン街のBarダーリンのマスター兼役者の石川雄也は、「NHKドキュメントなどで、ジャングルで原住民に会いに行くみたいな番組あるじゃないですか。あれの新宿バージョンだと思って見てください」と、会場を笑わせた。
Norie・W フレアバタフライさんは「タイガーを切り口にしながら、新宿の近代史が分かるような作りになっています。戦後の新宿の懐かしい映像がたくさん登場して、映画としてよくまとまったドキュメンタリー」と語った。また劇団『椿組』の外波山文明は「若松孝二監督の映画『われに撃つ用意あり』で石橋蓮司さんが演じる新聞配達員の役は、新宿タイガーさんをモデルにしている」と貴重なトリビアを披露した。しのはら実加は「高校の時から新宿でタイガーを見かけて40数年になります。タイガーというフィルターを通して新宿を見ると、また違った新宿に見えるというのが魅力の一つ」と語った。
最後に田代葉子は、「東日本大震災の後、地方に行っていたけれど、楽天が優勝したときにタイガーが朝、新聞をたくさんくれて、『被災地に持ってってやって』と。その新聞を見た気仙沼の人たちがすごく喜んで、『タイガーの写真を見せてくれ』というので見せたら、『大漁旗』みたいな人だなぁと。それから気仙沼の人たちはタイガーのことを『大漁旗』と呼んでいます。この映画が東北でもかかることを皆さん心待ちにしています!」と熱いメッセージを伝えて、舞台挨拶は終了した。
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「新宿タイガー」
テアトル新宿にてレイトショー公開中 他全国順次
©「新宿タイガー」の映画を作る会概要
東京のエンターテインメントをリードする街・新宿。
1960年代から1970年代にかけ、新宿は社会運動の中心だった。
2018年、この街には“新宿タイガー”と呼ばれる年配の男性がいる。彼はいつも虎のお面を被り、ド派手な格好をし、毎日新宿中を歩いている。彼が24歳だった1972年に、死ぬまでこの格好でタイガーとして生きることを決意した。何が彼をそう決意させたのか――?
彼が働く新聞販売店や、1998年のオープン時と2012年のリニューアル時のポスターにタイガーを起用したTOWER RECORDS新宿店の関係者、ゴールデン街の店主たちなど、様々な人へのインタビューを通じ、虎のお面の裏に隠された彼の意図と、一つのことを貫き通すことの素晴らしさ、そして新宿の街が担ってきた重要な役割に迫る。
出演者
新宿タイガー
寺島しのぶ(ナレーション)
八嶋智人/渋川清彦/睡蓮みどり/井口昇/久保新二/石川ゆうや/里見瑤子/宮下今日子/外波山文明/速水今日子/しのはら実加/田代葉子/大上こうじ 他
スタッフ
監督・撮影・編集:佐藤慶紀
企画:小林良二
音楽:LANTAN
製作:「新宿タイガー」の映画を作る会
・「新宿タイガー」(公式サイト)
・「新宿タイガー」(公式Twitter)
・「新宿タイガー」(公式facebook)
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- この記事を書いた人
- 栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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