自らが所属する劇団EXILEの公演のみならず、様々なドラマや映画などで精力的に活動を続けている小野塚勇人さんと佐藤寛太さん。小野塚さんは現在放送中の『特命刑事カクホの女2』に、佐藤さんは2020年1月より放送開始となる『駐在刑事Season2』に出演する。どちらのドラマもテレビ東京の毎週金曜夜8時枠で、さらに、お互い刑事役。そこで今回は2人に、“バトンタッチ”を兼ねて、それぞれのドラマの魅力などをたっぷりと語ってもらった。

「きっと衝撃的な結末が待っていると思います」(小野塚)
「ドラマを通じて人の絆を感じていただけたら」(佐藤)

 
Q. 別々のドラマではありますが、同じ枠で、刑事役という共通点がありますね。それぞれどのように役作りされたのでしょうか。
佐藤「僕は前作に引き続いて演じさせていただくのですが、とにかく覚えることが大変で。見たものをすべて覚えているという役なので、死亡推定時刻とか警察手帳やメモを見ながら芝居ができないんです。そこがちょっと厳しかったですね。シーズン2になって役職とかはちょっと変わっているんですけど、やっていることは同じです(笑)。とにかく全部覚えていたので、台本の時系列の流れは誰よりも把握していた自信がありますね」
小野塚「専門用語とかそういうのが大変なんだよね。あんまり無かったけど、パーッと走ってきて捜査報告するような場面で、ちょっと戸惑ったりしました。死亡推定時刻だって、普段は言わない言葉だもんね。言いなれない言葉なんで。撮影も話数の順番通りにやっているわけではないので、今なんの事件の話をしているのか混乱したり」
佐藤「わかります!」
小野塚「僕の場合は優秀なんだけど、ちょっと茶目っ気のあるというか、可愛気のある役ですね。昔にキャバクラのガサ入れ情報をキャバ嬢に横流ししたことが、麻生祐未さん演じる三浦亜矢副署長にバレてしまって、無理矢理に捜査協力させられています。でも同じ枠って言うのは面白いよね」
佐藤「なんか変な感じですよね。撮影しているときに、小野塚さんがやっている『特命刑事カクホの女2』のポスターが貼られていて、同じ時間帯なんだ! って思いましたし。作品の方向性も同じ感じでしたから」

 
Q. 方向性は違いますが、お2人とも“愛されキャラ”ですよね。そういうキャラを演じるために工夫されていることはありますか?
佐藤「僕の場合、控えめに言って僕自身が愛されキャラなので、工夫とかは別に……あんまり無いです(笑)」
小野塚「それで控えめなの?(笑)。でも確かに、劇団の中でも愛されキャラなんですよね。イヌみたいじゃないですか?」
佐藤「現場でも先輩方にかわいがっていただいて、役としては先輩方に噛みついていくようなところもあったんですけど、そのあたりの感じはうまく画面にも出ていたんじゃないかなって思いますね。うまく転がされているというか。特に北村有起哉さんはすごくお上手で、毎回毎回違う感じのお芝居をされる方なんですよ。だから翻弄されています。それは寺島進さんもそうで、役職は自分の方が上ですが、寺島さん演じる江波さんのひと言をきっかけに事件が解決していくようなシーンが多かったので、いろいろなところで振り回されているんです。そういうところは面白かったですね」
小野塚「……駐在犬?」
佐藤「そう、駐在犬です(笑)」
小野塚「でも俺も言ってしまえば亜矢さん(麻生祐未)にこき使われる犬みたいな感覚だからね」
佐藤「一緒じゃないすか。刑事ドラマはそういうポジションがあるんですかね? 犬ポジ(笑)」
Q. お互いに演技の面でどのようなところが魅力的だと思っている?
佐藤「目の前にして言いづらいんですけど(笑)、器用だな、って思います。たぶん現場で、あんまり戸惑ったりしないんじゃないかな。こうしてほしい、ああしてほしいっていうオーダーに対して、さらっと、はい、わかりました~ってやっているんですよね。そうやって毎回できちゃうから、柔軟な人なんだな、と。性格も優しいので、そういう部分も出ていると思います」
小野塚「そんなに器用じゃないよ(笑)。寛太はもうこの持ち前の明るいキャラもそうだし、身体能力が高い。アクションも見栄えがするし、フレッシュな役どころが似合うんですよね。この間、ゾンビに噛まれたらラッパーになる役をやってたんですけど(笑)、そういうハジけた役ができちゃうタイプです。自分だったら……どうだろうって感じの役だったんで」
佐藤「あと、小野塚さんてすごくギャグセンスも高いんですよ。うちの劇団、ボケばっかりでツッコミ不足なんですけど、小野塚さんが入るだけで場が回る回る(笑)。だから、小野塚さんだけはマイクを持っていて欲しいです」
小野塚「いや、ツッコんでるつもりはなくて、普通に訂正しているだけなんで(笑)。当たり前のこと、常識を言っているだけなんです。それを劇団のメンバーは“お~!”って言ったりするんですけど、そうじゃないわ、って思います(笑)。ほんと、散らかったボケをやめてほしいんですよ」
佐藤「いやでも、常に面白いことを探している人って演技もうまいと思っているんです。真面目なシーンでも、ちょっとこうしたら見方が変わるとか。ドラマの現場だと北村有起哉さんがそうでした。たぶん小野塚さんもそういう感じなんじゃないかと思いますね」
小野塚「北村さんと並べられちゃうと、足元にも及ばないと思うんだけど……。でも笑いを取りに行くと失敗しますよね。役の目的をちゃんと考えていくと、笑いを取りに行くことが面白いんじゃなくて、俺が副署長に振り回されているドタバタ感が面白いのであって。結果、笑いを取りに行くけど、そっちよりもドタバタしに行くって感じかな。その本質は絶対に外さないようにしています」

 
Q. 現場で苦労した点などはどこでしたか?
佐藤「僕は長セリフですね。監督が、よし、ここはワンカットで撮ろうって言われた瞬間、憶えていたはずなんですけど全然できなくなって。7回くらいNGを出してしまったりしたこともありました」
小野塚「僕は最初の頃、電話ばっかりしてたんですよ。署から出ていなくて」
佐藤「確かに、場面写真見るたびに電話してた気がする!」
小野塚「そう(笑)。でも電話のシーンって似たような画になりがちだから、どう変化をつけるか悩みましたね。それぞれ使われている話数が違うので、ドラマの中では気になるような部分じゃないかもしれないですけど、続けて取っていたりするので、そこは気にしました」
Q. それぞれ自分の現場でココだけは負けない! と思うポイントはなんですか?
佐藤「ウチは差し入れの量が半端ないですね。毎回お菓子が山積みにあったりして、お菓子のある『お茶場』がコミュニケーションの場所になっているんですよ。お菓子も好きなんですけど(笑)、みんなそこでリラックスできて、撮影が充実しているという意味で、『お茶葉』はどこにも負けないんじゃないかなぁ」
小野塚「ウチの現場は押さない現場ですね」
佐藤「あー、でもウチも割とそう」
小野塚「マジか(笑)。でも、だいたいちょっと巻いて終わるんですよね。1時間半とか。たまに押すときもあるんですけど、夕方とかに入ったりすると、今、巻いてます、みたいなことが多いんです。チームワークの良さや、スタッフさんの仕切りの良さ、名取さん麻生さんのセンスの良さもあると思います」

 
Q. ドラマを通して学んだことはどんなことですか?
小野塚「僕は麻生さんと名取さんと一緒にいるシーンが多かったので、あのお2人の芝居を体感できたことですね。芝居を決めないというか、現場のリハーサルの時、例えばト書きに“ここで止まる”と書いてあっても、自分の気持ちと重ねて気持ち悪いと思ったらどんどん変えていくんです。そういう自分の気持ちに素直にお芝居されている、嘘のない感じがすごく素敵だな、と思いました。本番入ってからも変わったり。アドリブ力とかも凄いんですよね。麻生さんは普段とてもお優しい方なのに、スイッチが入るとすごい迫力ですし、名取さんはずっとあのままブレない軸のままでいらっしゃって。その2人のタイプの違いを目の前で見ていて、でも2人の息がピタッと合う感じは目の前で見て感動しました」
佐藤「僕は本当に、北村有起哉さんにたくさん学ばせていただいたかな。楽しくシーンを作っていこうとするその姿勢がとても素敵なんですよ。マンネリ化を一番嫌うというか。自分自身が飽きないためにも、自分でどんどん新しいことを作ってやっていこう、台本と勝負していこうとする部分は本当にすごいな、と思いますね」
Q. 他の劇団メンバーから演技について感想をもらったりする?
小野塚「秋山(真太郎)さんは意外と見てくれてる感じですね」
佐藤「あ、秋山さん見てくれてる! ドラマとか舞台もね。良かったよ、とか、こうしたほうがいいんじゃない? とかも言ってくれたり」
小野塚「すごくありがたいですよね。言われずに自分で後々気付いて後悔することもありますからね。それだったら、直せる段階なら言ってもらいたいし」
佐藤「メンバーだったら、なんの嫌味も無いですもんね」
小野塚「難しい部分もあるんですけどね。でも自分はこう思うみたいな、自分の主観は絶対に入るし、それを相手に強要するのも違うし。自分の感性と相手の感性をすり合わせていかないと。人によって、台本を見て思うこと自体が違うし、どれが正解とかでもないから。だから、もし自分がアドバイスみたいなことをするとしたら、寛太の性格なら~とか、寛太のこういうところを出せば~、みたいな言い方になるかな。逆に自分もそういう言われ方の方が腑に落ちる気がします」

 
Q. 最後に、それぞれのドラマのみどころを教えてください!
小野塚「これをお読みいただくころには、もうドラマも佳境だと思います。先日、打ち上げもあったんですが、本当に盛り上がったんですよ。ドラマの現場であんなに盛り上がったのは初めてっていうくらい。打ち上げの盛り上がり方で、現場がよかったかどうかってわかると思うんです。本当にみんなが一致団結して、最高の終わり方ができたんじゃないかと思います。コメディとシリアスの対比などにも注目していただきつつ、衝撃的な結末が待っていると思いますので、ぜひ観て頂けたらと思います」
佐藤「ドラマで魅力的なところのひとつに、奥多摩の自然があると思っています。現場まで片道2時間3時間かけて撮影に行っていますが、日本人なら誰でも懐かしいと思えるような風景がそこにはあるんです。正直、毎日長ぇなと思って行ってたんですけど(笑)、行くと来た甲斐があったなって思うんですよね。素晴らしい景色が待っていて、そこで生まれる人情ドラマがあって。今の世の中、人と向き合わない時代になってきている中で、人と一生懸命向き合っていく江波さん(寺島進)の姿を見れば、あったかい気持ちになれるんじゃないかな。人の絆を感じていただけたらと思います。奥多摩は先日の台風で被災されてしまった場所でもあります。でも、奥多摩のすばらしさをドラマの中で描くことで、被災された方を少しでも応援できれば、という気持ちでいます。ドラマを撮らせてもらうことで恩返しになれば、と思っていますので、ぜひ皆さんにご覧いただきたいです!」
――ありがとうございました。

ドラマ情報(1)
金曜8時のドラマ『特命刑事 カクホの女2』
放送日時
毎週金曜 午後8:00~8:54
2019年12月6日最終回

 
あらすじ
名取裕子演じる、警視庁入庁以来人事一筋で捜査は素人だがその洞察力で事件を紐解く警察官・北条百合子と、麻生祐未演じる、ノンキャリアではあるが県警一の捜査実績を残している現場叩き上げのクールな刑事・三浦亜矢の活躍を描く。
出演者
名取裕子、麻生祐未、大東駿介、正名僕蔵、小野塚勇人、長谷川初範、高橋克典(特別出演)、加藤雅也
金曜8時のドラマ『特命刑事 カクホの女2』(番組公式ページ)

ドラマ情報(2)
金曜8時のドラマ『駐在刑事 Season2』
2020年1月スタート
放送日時
毎週金曜 午後8:00~8:54

 
あらすじ
寺島進演じる江波敦史は、かつては警視庁捜査一課の敏腕刑事で、今は奥多摩の人々からは“駐在さん”と呼ばれ親しまれていた。今回は、シリーズの世界観を踏襲し、「奥多摩・水根の人々の人情とユーモアあふれるエピソード」と「捜査一課が追うシリアスな殺人事件」を組み合わせた物語が展開するだけでなく、これまで明かされてこなかった「登場人物たちの過去や因縁」などが語られる。
出演者
寺島進、北村有起哉、笛木優子、佐藤寛太、鈴之助、梨本謙次郎、徳井優、山口祥行、小林星蘭、市毛良枝
金曜8時のドラマ『駐在刑事 Season2』(番組公式ページ)

撮影:島村緑 取材・文:宮崎新之

※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)
この記事を書いた人
ウィルメディア編集部
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