8月31日(月)26時、テレビ東京が「生理」をテーマにした前代未聞(!?)の番組「生理 CAMP2020」を放送!司会のバービーを筆頭に、黒沢かずこ(森三中)、ゆきぽよ、りゅうちぇるら人気タレントが登場し、公の場ではなかなか話せなかった「生理」についてさわやかにぶっちゃける。番組では、ゲストが抱える「生理」の悩みや、あるある&衝撃エピソードを告白。そのほか世界のタンポンが競う「タンポン選手権」に、月経カップや生理ディスクなど世界の生理グッズを一挙紹介するコーナーも。
プロデュース・演出は、『極嬢ヂカラ』『アラサーちゃん 無修正』やテレ東無観客フェス『新・大人の性教育 セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!』を手掛け、女性ならではの悩みと向き合ってきたプロデューサーの工藤里紗。31日の放送を控え、工藤プロデューサーに企画の意図と昨今の「生理」事情、番組の見所を聞いた。

“生理を語る時代がきた!!!”と番組を企画

――8月31日(月)26時~、前代未聞(!?)の「生理」番組「生理 CAMP2020」が放送されます。今回このタイミングで「生理」をテーマにした番組を企画されたのは何故でしょう。
「実は10年以上前に手がけた番組『極嬢ヂカラ』で何回か生理特集を行っていたのですが、毎回女性視聴者から“勇気が出た!知らない情報をありがとう!”とかなり反響がありました。震災後には、“被災して生理用品がないなか悩みを共感して勇気が出た”とのお手紙を頂いたり……。私自身ずっと「生理」が気になっていて、手が汚れないタンポンを作りたいなとライフワークのように調べたり、婦人科の勉強会に出ていたなか、ここ数年「フェムテック」(女性特有の問題をテクノロジーで解決する)が注目され、さらに2018年には『パッドマン』のように生理をテーマとした映画が登場し、“時代がきた!!!”と思い、企画に至りました」
――おおっぴらに語りにくい雰囲気があった「生理」の話。その風潮が変わってきたのはいつ頃からだと感じますか?何かきっかけがあったのでしょうか?
「この3~4年で特に変化を感じます。「生理」に限らず、妊娠、妊活、不妊、セクハラ、同意のないセックスへの疑問、結婚の意味、セクシャリティ……。女性がヒミツにしていたこと、声を出さなかったこと、どこかで仕方ないとガマンしていたことへの疑問が世界中でポツポツ出始めて、それが大きな流れに変わっていると思います。映画『パッドマン』では生理という問題解決に取り組み起業する男性の物語が大ヒットし、女性だけではなく男性からの感動の声が大きかったのが印象的です。「生理」だけではないですが、海外ドラマでも今「性的同意」を撮るシーンを入れるのは潮流になっていますし、例えばNetflixドラマ『このサイテーな世界の終わり』では、逃避行している女性が途中で生理になり生理用品を店からこっそり盗るシーンがあります。よく考えたら、映画やドラマの中の女性だって生理が来ているわけです」
――これまで「生理」に特化した番組はありましたか?企画に対する周囲の反響はいかがですか?
「『生理』だけの番組は聞いたことがありません。前述の『極嬢ヂカラ』や『あさイチ』のように、女性をメインターゲットとする情報番組の一部で「生理」が扱われたことはありますが、「生理」に特化した番組は初めてなのでは!? と思います。周囲の反応はさまざまです。正直、“地上波で放送する意味が見当たらない!”といったかなり強いご意見も頂いています。しかし、ネットで生理について情報を調べたり、気軽に婦人科を受診して相談する「生理感度が高い人」がいる一方、“具合が悪いのは仕方ないことだ。痛み止めは身体に悪そうだからひたすらガマン”という人が実際は多い気がします。そんな自分から積極的に「生理情報」を取りに行く人ではない人もいるからこそ、地上波で取り上げる意味があると感じています」

あるある話や仰天エピソードも。人気タレントがさわやかにぶっちゃけ!

――出演者には、バービー、黒沢かずこ、ゆきぽよ、りゅうちぇると、若者に人気のタレントが集まっています。キャスティングのポイントとは?
「バービーさんはいわゆる「生理感度の高い人」で、YouTubeで生理についての動画を出したり、「話そう、知ろう。生理のこと。」をコンセプトにしている「#NoBagForMe」プロジェクトのメンバーでもあります。一方で、黒沢さんはバービーさんの真逆に位置しています。お茶の間に近く、“タンポンなんてとんでもない、ナプキンです、ナプキンだけです”と、生理に対してとても保守的です。“タンポンを使うと処女膜が破れる”といった都市伝説があるのですが(ちなみに、処女膜はそもそもピンとはった膜ではありません…)、意外と眉唾ものの、生理や婦人科にまつわる都市伝説も気にされています。先端ではなく知らない人に知ってもらいたい、語ったことがない人が人の話を聞いて楽になれば、というのがテレビでやる意義のため、黒沢さんに出演してもらった意味はとても大きいのです。ゆきぽよさんは、若い世代代表。ある意味、若い世代こそが、これからまだまだ長い「生理ライフ」があるので、気軽に婦人科を受診していいこと、みんな悩んだり独自にやっていること、生理用品にもいろいろな選択肢があることを知って欲しいと思います。りゅうちぇるさんのご出演の意義も大きく、“生理=女性=女性だけのヒミツの話”になると、なかなか世の中が変わらない。生理のことを話すも話さないも個人の自由だと思うのですが、男性も女性と関わるうえで、雰囲気だけよりもう少し知る機会があってもいいのになと思います。かといって“何で分かってくれないの!”と分断を生んでも何の意味もない。男性・女性の分断を生まず、“へえ~、そうなんだ~”と自然と興味を持ち、どんな人もニュートラルに受け入れてくれそうだなと思い出演をお願いしました。ご本人も、“生理の番組からオファーがあり嬉しかった!”とおっしゃっていたのがとても印象的です」

 
――「生理」についてリサーチしていて、何か驚いたこと、改めて気付いたことはありますか?
「驚いたのは、初潮が来てもお母さんに言えない人が多いことです。番組で黒沢さんが、言えないが故の仰天エピソードを告白していて、本当に驚きました。また、生理用品を交換するときに、新しいものを口にくわえる人、使用したものをいったん壁に貼る人、胸に貼る人、足に貼る人と実にさまざまで、“え!トイレの個室の隣はこうなっていたの!?”、そして“意外と捨てる時に苦労している説(?)”のようなものが浮かび上がりました。個人的にトイレそのものを設計することはないかもしれませんが、何かできそうだなと……。あと、かつてリサーチしたことがあるのですが、当時とタンポン使用率の低さが変わっていないことに驚きました。さらに、“タンポンを使っていると遊び人だと思われる”“タンポンが水を吸収したらお腹も水でいっぱいになって爆発する!?”というような不安を抱える人がいることにも驚きました。ちなみに、経血もタンポンもお腹とは別の位置なので、そのようなことは起こりません。生理のナゾ都市伝説が令和の時代にも続くという、自分の身体の構造への知識不足と婦人科への相談のハードルの高さは何か変わるといいのになと思います」
――工藤さんご自身、男性の多いテレビの現場で働いていて、女性として苦労された経験はありますか?
「苦労だらけです(笑)。ロケはもちろん、長いスタジオ収録も。よく考えたら、ピルでズラすなどすればよかったのですが、5時間生放送(!)で、その前のリハーサルから本番になだれ込むことを考えると約8時間も生理用品交換のチャンスがないというのは地獄です。そして、何の法則か分かりませんが、なぜか本番の生理率が高いのです。“ヘルプ!”メールを送ったら、隅田川花火大会の中継車にこっそり生理用品を持ち込んできて、私のポケットに突っ込んでくれた優秀な後輩もいます。急に同志になるというか、現場の女性として互いを支え合い、接着剤のようになるのが「生理」の不思議なところでもあります。「生理 CAMP2020」の収録現場でも、急な水着や下着撮影、温泉のロケのエピソードが出て、“そうだよね~。出演者こそ、衣装など制約もあって大変だよな”と、働く女性の生理エピソードにやけに深くうなずいてしまいました」
――現場の雰囲気はいかがでしたか?収録の感想をお聞かせください。
「とても良い雰囲気でした!何よりトークが止まらず、放送が30分なのがもったいないくらい。もっといろいろな悩みやトンデモ話、医療の立場からの解説を出したい、見て欲しいというのが何よりの感想です。同時にこんなに生理や身体の質問が止まらないということは、それだけみんな疑問に思いつつスルーして生きているんだなとも感じました。りゅうちぇるさんの生理に対する関心の高さも驚きの一つで、話に入れないというと変ですが、話さないから男性の知る由もない、間違ったことを言って傷つけたり怒らせたくないからますます知る由もないだけで、本当は女性の身体について知る機会がもっとあればいいのにな、とも思いました。女性も同様です」
――どんな方にこの番組を観て欲しいですか?番組を通して伝えたいものとは?
「まず、これからの「生理ライフ」がまだまだ長い若い世代の人に見て欲しいです。次に、“これって大丈夫?”とか、“不便なんだけど……、なかなか人に聞けないし、話せないし”と思う方にもぜひ見てもらえたらと思います。短い時間なので、部分的な情報ではありますが、何か知るきっかけにはなると思います。男性には、“こんなこと気にしてるんだ、あの持ち歩いている生理用品ってこんなものなんだ”と、存在は知れども中身が分からなかった「生理」を垣間見るきっかけ、意外と質問しても大丈夫なんだということ(聞き方にもよりますが)、何よりも男性が「生理」に関心を持ったり、調べることが嬉しかったりする反応もあるということを知ってもらえたらと期待しています。オープンに話すも話さないも個人の自由。しかし、眉唾の都市伝説に振り回されたり、“これ大丈夫??”と不安に思いながら過ごすよりも、正しい知識を身につけたり、例えば生理用品一つとっても実はさまざまな選択肢があるのを知ると知らないでは違うということを伝えられたらと思います」

常識に疑問を持ち、「当事者」の意見に耳を傾ける

――「生理 CAMP2020」のほか、これまでも女性の視点に立った番組を多く手がけてこられました。女性の悩みに向き合う番組を作る上で、工藤さんが大切にされていることをお聞かせ下さい。
「今までの常識で“ん?”と感じるものは、正直に疑問を持つこと。「当事者」の意見にまず耳を傾けること。自分では発言しにくい、強い側ではない人の立場を考えることです。例えば、今も絶賛言われているのですが(笑)、“テレビで生理を扱うのはとんでもない!”が常識だとしても、それをそのままにしていては生きやすくならない。地球の半分が女性で、ほとんどの人に生理があり、何がしかを感じて生きているなら、それを取り上げるのは決してとんでもないことではないはず。また、いつも“生理の話題なんて女性は誰も聞きたくないよ”と男性に言われたり、過去には“レズビアンのカップルを出すなんて同性愛者の人たちは嫌がるのでは?”と異性愛者の方に言われたりしましたが、当事者に聞くと全く違う反応があることも。もちろんすべての人の意見を反映することは不可能ですが、“こんな人たちはこうなのでは?”という憶測よりも、まず描く当事者の話を大切にしたいです。最後に、テレビは多くの人に届き、大きな影響力を与えます。だからこそ、そうではない立場の人を常に意識しないとな、と日々思っております。もちろん、何かを伝えるということは、反対意見や伝わり切らないことでの齟齬も生まれます。日々反省の一面もありますが、これらの3つを大切にしています」
――工藤さんが今注目しているテーマ、今後取り上げたいと思っているテーマはありますか?
「個人的には、老いや更年期に興味があります。子供の学校の先生が、“「性」とは「生教育」”とおっしゃっていて、本当にそうだなと。あと、“結婚とは!?”の根本的なこと。生理についても今回は短い特番なので、本当は回数を重ね、きちんと身体の構造から勉強していきたい。また、男性向けのコンテンツ講座(?)のような企画も手がけてみたいです。学生や子供に向けたものもそうですね」
――最後に、「生理 CAMP2020」放送に向け、メッセージをお願いします。
「女性のみなさまも男性のみなさまも。8月最後の31日、ド深夜ですが、真夏の真夜中のキャンプで、いつもは聞かない生理の話を聞いてみませんか?さわやかにぶっちゃけます!」

タイトル
「生理 CAMP2020」
放送日時
テレビ東京 2020年8月31日(月)26:00~26:30
出演者
バービー、黒沢かずこ(森三中)、ゆきぽよ、りゅうちぇる
プロデューサー
工藤里紗
※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)

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