第13回で、京に着いた渋沢栄一(吉沢亮)と渋沢喜作(高良健吾)ににらみを利かせていた新選組の副長・土方歳三。幕臣になった栄一と任務で出会い、同じ百姓出身ということもあり意気投合。今後、喜作らとともに新政府軍と戦っていくことになります。土方歳三を演じるのは、2018年の『西郷どん』小松帯刀役以来二度目の大河ドラマ出演となる町田啓太さんです。自分が新選組の副長を演じることについて感慨深いと話す町田さん。土方を演じるにあたり意識していることなど、撮影エピソードを含めお聞きしました。
 
「自分がどうありたいのかということを僕自身問うようになり、とても学びになっています」

――土方歳三を演じると決まったときの気持ちを教えてください。
「僕は時代劇が好きで剣道を習っていたので、新選組の土方歳三役とお聞きしたときに、もしかしたら殺陣もあるのではないかと思い、すごく楽しみでした。撮影で新選組のダンダラ模様の羽織に袖を通すととても身が引き締まります。

土方歳三は“鬼の副長”と呼ばれていたこともあり、自分に自信があるだけでなく、狂気の部分を持つ人というイメージがありました。でも彼について調べていくうちに、自分に厳しいのはもちろん、周りに対して厳しいのは、自分の筋をきちんと通そうとしていたからなのだとわかりました。相当いろいろなことを考えて、その筋を自分の中に落とし込んで行動していたのではないでしょうか。それってとても心が強くないとできないことだと思います。土方さんのようになにかを良くするために前向きになったり、人のために動くことは素晴らしいと思いますし、演じている僕も強くあらねばと思いました。また、土方さんは“どう生きるか、どう死ぬか”ということに重きを置いていた人物だと思うので、自分がどうありたいのかということを僕自身問うようになり、とても学びになっています」

 
――土方歳三を演じる際に大事にしていることは?
「子どもの時からやんちゃで、いわゆるガキ大将だった人物なので、熱量が高い部分を大事に演じていきたいです。あと本作で、同じ時代に生きていてもなかなか接点のなさそうな渋沢栄一と土方歳三がどのように絡んでいくのかすごく楽しみでした。武州多摩という田舎から武士を目指して成り上がってきた土方が、同じように田舎出身の栄一にシンパシーを感じるシーンがあるのですが、土方は自分がどのような思いで武士になったのかを吐露するんです。僕はこのシーンがとても好きです。というのも僕は群馬出身なので、東京に来たときは田舎者だと思われたくなくて、流行りの服をがんばって学んだりしました(笑)。もしかしたら土方さんもそういうところがあったのではないかと思うんです。僕は芸能界やスポーツの世界にすごく憧れていましたが、土方さんは武士に対しての憧れが人一倍あり、“武士とはこういうもの”というイメージを守りたい、近づきたい人物だったのではないでしょうか。今回僕はそんな“理想の武士を演じている土方歳三”を意識し、自分自身とも重ねて演じています」

 
――吉沢亮さん演じる渋沢栄一の魅力はどんなところにあると思いますか?
「つねに前を向いている姿勢が本当に素晴らしいですね。人生において多方面にアンテナを張っていても気づけないことのほうが多いと思います。でも栄一はきちんといろいろなことに気づける才能がある人ですし、演じている吉沢さんとその部分がすごくリンクしていると思いました。

僕が撮影に入ったのは第13回からだったのですが、現場の全体の空気が出来上がっているなか、吉沢さんや喜作役の高良健吾さんが気さくに声をかけてくださって嬉しかったです。吉沢さんも剣道を習っていたとお聞きしたのですが、僕の殺陣のシーンを吉沢さんと高良さんが控室のモニターで見ていたというので汗が出ました(笑)。“よかったよ”と言ってもらえたのが救いです。優しいお二人ですね」

 
――メッセージをお願いします。
「大河ドラマには強い思い入れがあるので、また挑戦させていただけることを光栄に思います。『西郷どん』のときは初めてですごく力が入っていましたが(笑)、今回は浮足立つ心を抑え、少し心の余裕をもってできているのではないかと思います。また、これまで多くの方々が土方歳三役を務めていますが、それぞれがその作品のなかの土方像を懸命に探した結果、素晴らしい土方歳三を演じられています。僕も『青天を衝け』ならではの土方歳三をしっかりと演じていこうと思います」
 
大河ドラマ『青天を衝け』(番組公式ページ)

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