愛する男を巡って三人の女性が繰り広げるマウントガチバトル!


© 2021映画「truth〜姦しき弔いの果て〜」パートナーズ

 
『truth〜姦しき弔いの果て〜』はコロナ禍、表現の場を失った3人の俳優たち、広山詞葉、福宮あやの、河野知美が立ち上がって作った自主映画である。テーマは精子バンクだ。
監督は堤幸彦。1988年に『バカヤロー!私、怒ってます「英語がなんだ」』で映画監督デビュー以後、『「SPEC」サーガ』、『トリック』、『ファーストラヴ』など多くの作品を手掛け、『truth〜姦しき弔いの果て〜』はちょうど映画監督作50作に当たる。
脚本は、『明日の記憶』のほか、多くの堤作品の脚本を手掛け、堤監督が信頼を寄せる人物である三浦有為子が手掛けている。
『truth〜姦しき弔いの果て〜』でも、二人の十八番ともいえる女性たちの本音バトルが炸裂。元ヤンのシングルマザー、セレブの医師、美貌を売りにする受付…。まったく属性の違う3人と同時につきあい、彼女たちを残して死んだ男の真実に迫るミステリー仕立てで、最後には生と死の深淵にまで迫る。人間の哀しき性にまつわる馬鹿馬鹿しさと同時に深さも感じる奇妙な魅力のあるコメディとなっている。女性3人の激しく姦しい会話劇は、ローマ・インターナショナルムービーアワード最優秀作品賞の他、海外映画祭で7冠を受賞し、世界各国で注目されている。
3人の主演俳優たちは、メジャー映画やプライムタイムのテレビドラマで主役を担うタイプではないながら、それぞれのフィールドで着実に仕事をしている演技巧者たち。彼女たちがひとりの男をめぐってマウントし合う芝居は実にユーモラスでアクチュアルだ。

突然亡くなった恋人(佐藤二朗)の部屋で3人の女性たちが鉢合わせ。元ヤンでシングルマザーのマロン(福宮あやの)、セレブな医師・さな(河野知美)、美貌を武器に受付の仕事をしている野心家の真弓(広山詞葉)。異なる個性の3人と恋人は同時に付き合っていて、亡くなる直前、それぞれに「帰ったら大事な話がある」と留守電を残していた。大事な話があったにもかかわらずなぜ恋人は亡くなったのか。また、彼が残した首のない裸婦像は誰をモデルにしたものなのか。3人は我こそ彼に最も愛された女だと主張をはじめる。女たちの壮絶なマウント合戦の結末は――

付き合い始めた時期も同時、そして同い年。それぞれ会う日も月曜日、水曜日、金曜日としっかり決められていて、それぞれに突出したところは何もない。それでも自分が本命だと汚く罵りあって取っ組み合う三人の姿は、滑稽なようで真剣に恋人を愛していたことが伝わってくる。
だが彼女達は立派な大人の女性である。同じ男を愛したもの同士和解をする…かと思いきや、次の火種が燃え上がりまたもや口喧嘩と取っ組み合いが勃発。素直に「いい話だなー」で終わることなく、フフッと笑わせてくれる。
テーマが精子バンクと聞くと固いイメージを抱いてしまうが、決してそんなことはなく、ユーモア溢れる作品になっている。同じ男を愛したという共通点が無ければ絶対に知り合うことのなかった三人が、激闘の末どんな答えを出したのか。是非とも劇場で確認してほしい。
最後まで見ると、この映画のタイトルを理解することが出来る。

『truth〜姦しき弔いの果て〜』は2022年1月7日(金)より新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサほか、全国順次公開。

映画情報

出演
広山詞葉、福宮あやの、河野知美、佐藤二朗(忖度出演)

監督&原案
堤幸彦

脚本
三浦有為子

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