2022年1月6日(木)15:30~16:30実施 記者会見レポート


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土屋:みなさま雪は大丈夫でしょうか。改めまして、あけましておめでとうございます。新年に会見の場をいただき本当に感謝しております。10年前、大切な作品でお世話になったテレ東さんに、また一つ得難い大切な出会いをいただきました。今日はその感謝を込めて、いろいろなお話ができたらなと思っております。よろしくお願いいたします。

永山:あけましておめでとうございます。今日はよろしくお願いします。

仲村:今年もよろしくお願いします。昨日の夜、完成したものを初めて見たんですけど、お年玉というものをもらえなくなって数十年経ちましたが、本当に素晴らしい贈り物を若松監督からまたいただいてしまったなという、すごくいい時間で素晴らしい作品に参加することができて、去年の11月12月のんびりしようと思ったんだけど頑張ってよかったなと思いました(笑)。今日はよろしくお願いします。

若松:あけましておめでとうございます。3日前までダビング作業をしてまして、まだホヤホヤで「もう明日放送なの?」っていう感じですけど、とてもほっこり温かいドラマにできたかなと思います。ぜひ皆さん、ご覧くださいますようお願いいたします。

――さて昨年末の26日にクランクアップされたばかりということですけれども、およそ10日ぶりに皆さんお集まりいただいたということですが、土屋さんいかがでしょうか?10日ぶりにお集まりいただいて…。
土屋:そうですね…10日ぶりですよね?でも顔を拝見すると、そんなに久しぶり感はないといいますか、昨日まで撮影ご一緒してたのかなと思うような、温かい気持ちになりましたし、3日前は監督にちょっと編集のところにお邪魔させていただいて、お会いすることができたので、「あ、監督だ!」と思って嬉しくなってます。「優しい音楽」というタイトルですけども、撮影は本当にそのまま“優しい現場”でした。監督はすごく寄り添ってくださる優しさで、絢斗さんはちょっとスパイスのような優しさで(笑)、トオルさんは私がセリフで、「これ大丈夫かな、ちょっと言いづらいかな」と思ったときに、「『言いづらさを楽しむといいんだよ』って昔教わったんだよ」ということを教えてくださったり。成美さんもすごく優しくて、とても深い優しい海のような現場でした。

永山:年をまたいだというのもあって、新しい気持ちでって思ったんですけど、顔を合わせてみると、つい本当にこの間まで撮影してたんだなっていうことを実感してますし、本当に家族のような時間を過ごさせていただいてたんで…嬉しいです。

仲村:僕は家のシーンが多かったので、ダイニングテーブルを囲んで4人とか、同じ部屋の中で4人というシーンが多かったので、すごく現場では家族感がありましたし、若松組のスタッフの皆さんにもすごいファミリー感があったんですけど、昨日作品を見て、本当に太鳳ちゃんも絢斗くんも素晴らしい、素晴らしい仕事をしていたので、今日は家族っていうよりも大げさでなく、ちょっと緊張するような尊敬する俳優さんと女優さんに会ったみたいな感覚がとても新鮮です。そしてそれを引っ張り出した若松監督も、ちょっと会うとなんか緊張してしまうような感じがあります。

若松:そんなに褒めてどうすんですか!

仲村:いや、来年もお年玉が欲しいなと思って(笑)

若松:この舞台が鎌倉でした。それで日中は短くて夜が長いっていう時間の中で、朝どうしても早く出なきゃいけないんですよ、5時起きとか4時半起きとか。きっと俺のこと恨んでるんだろうなと思って、「なんでこんな遠いところまで来なきゃいけないんだよ」っていう心の声が、絢斗とかトオルさんとか聞こえてくるような気がして…えー大変申し訳ありませんでした。ただあんなに美しい富士山を毎日見てられた幸せは、僕のおかげですね(笑)

永山:僕自分で車の運転して行ってるんですけど、もうあっちの方はもう目を瞑ってでも行けるぐらい本当に通い慣れた道でした(笑)。

≪記者質問≫
Q. 撮影にあたってこだわったことはありますか。

土屋:こだわったことと言えば、「優しい音楽」っていうタイトルなので、音楽を撮る場面というのは、丁寧に撮っていただいたなと感じていて。ただピアノって持ち運べないんですよね、大きくて。なので撮影中とかも本当は練習したいんだけどできないっていう時に、母が鍵盤だけのちょっとだけ分厚い、持ち運び(用のピアノ)を買ってくれて、車の中で弾いたとかして。ただ今までは私自身としてピアノ弾くことがたまにはあったんですけど、役として弾くっていうのが初めてだったので、なんていうんでしょうか…アニメで言うとキャラクターが歌うとキャラソンになるじゃないですか。私は、キャラクターを演じながら演奏なので何か……何を言いたかったんだろう(笑)。キャラ演奏的な、ちょっと難しく感じました。なのでピアノのシーンはちょっとプレッシャーがあったんですけれども、心の中ですごく大切にこだわった部分かなと思います。習ったことはないんですけど家にピアノがあって、それを小さい頃から弾いていたので、なんとなく鍵盤の感じはありました。

永山:余裕だったんじゃないですか?すごく滑らかな指でしたけど…ずるいです。僕は本番の日、夜に変な時間に寝ちゃって、2時とか3時ぐらいに起きて、練習を忘れたんで、そっから朝まで一生懸命指を動かしてました。僕もフルートを今回演奏する役だったんですけど、なかなか自分の人生でフルートを持つとは思ってなかったので、すごく難しい楽器でしたけど、なんかすごくフルートの美しさというか音の良さっていうのを知れたというのはすごくいいお土産になりましたね。そんなやっぱりすぐにつけるもんじゃないですよ!すっごく練習しました本当に。音を鳴らすだけで難しかったんです。

仲村:僕はギターを担当いたしました。多分15歳ぐらいの頃に、触って数分で才能がないなと思って。それ以来な感じでしたけど多分…いやぁ今までごく一部のミュージシャンの方々に対して、「チャラチャラしやがって」みたいな感情を持ったことが全くなかったわけではないんですけど、これからは全ギタリストの方を尊敬しようと思うぐらい、きっと皆さん本当に努力と練習に費やした時間で、切れてしまった指先みたいなことで、あのレベルに行っているんだろうなというのを、スッゴイ低いところからすごく高いところを見上げて思い知ったような感覚でした。

若松:もう本当に頭が下がります。苦労をした先に、こんなに素晴らしい音楽を奏でてくれるのかなぁと。俳優さんってすごいなぁと思いましたね。…これぐらいですかねトオルさん!

仲村:もう十分です(笑)。

若松:太鳳ちゃんがピアノの話をしましたけど、土屋太鳳さんが弾くピアノだから、あえて美術に世界三大ピアノのうちの一つ、ドイツのピアノを用意しまして。舞台になってる場所が山の中腹にあるもんで、ここにピアノを持ち上げるのが大変なんですよ。350キロあるんです。太鳳さんが弾いたお借りしたピアノは700万から1000万ぐらい。太鳳ちゃん途中でなんか「ねこふんじゃった」を練習してましたね1回ね。あれ1000万ぐらいするピアノなんですね、一応ね(笑)。建物はまた旧帝国ホテルと同じような建物で、狭くてなかなか搬入できないんですよ。それで10人がかりで窓を壊して入れ込んだんですよ。それぐらいちょっと苦労しました。

土屋:あのピアノはすごく響いて…只者じゃありませんでした!値段はもちろんすごいですけど、やっぱり響きがやっぱ違うんですよね。ピアノが好きだからピアノ見つけるといろんなとこで触ったりするんですけど、本物を触らせていただいてたので、伝わったらいいですよね。

若松:伝わってます。(ロケは)皆さんには本当申し訳ないですけど、鎌倉という場所でやっぱりやりたいと思って探してもらったんですけど、暖炉のあるリビングというものを最初からちょっと狙ってました。暖炉の火がとても効果的に映ってたのでいいかなと。リビングにはトオルさんが大学教授の役だったので、書棚をいれてみたり。だいたい500冊ぐらい入ってるんですけど、本はやっぱり重いですから本を運ぶのもちょっと大変な作業でしたね。俺が運んでるわけじゃないんだな(笑)、スタッフが運んでくれました。

――永山さんは二役演じられていらっしゃるということですけれども、そのあたりの役作りも難しかったのかなと思いますが、いかがでしょうか?
永山:そうですね…わりと対比した役だったのかなっていう印象はあるんですけど。ご褒美のような気持ちでもう一役の方はやらせていただきました。

――衣装の提案なんかもされたと伺ったんですが。
永山:やっぱり想像することしかできないんですけど、どういうものを着ているのかなっていうのを思ったときに…言えないようなことがちょっと多いんですけど…衣装合わせのときにそれを持っていって、提案させてもらったっていう形ですね。監督も乗っていただいて。

若松:あれほぼ自分のものだったんだよね?

永山:そうですね。同じものを長く使っている訳なのかなと思いまして、提案させてもらいました。

――監督はもともと「やまとなでしこ」などフジテレビの恋愛ドラマの名手としても有名ですけれども、最近は社会派のドラマが多いイメージはありましたが、久しぶりのラブストーリー作品ということで、そのあたりでもこだわりはありますか。
若松:すごく燃えました、今度のラブストーリーは。ここのところずっと男モノ、群像劇が多かったので、この「優しい音楽」はラブストーリーから始まりますね。江ノ電のホームから始まるんですけど、僕なりにちょっと半年ぐらい韓国ドラマを研究したって言ったらちょっとおこがましいですけど、こうやってLOVEを作っていくんだっていうのを少し学ばさせてもらったことを、現場で絢斗くんと太鳳ちゃんに「こんな感じでやってください」というふうに言ってるんですけど、いつもいつも笑われっぱなしでしたね。「親父何言ってんだよ」みたいな感じでしたね2人とも。

土屋:本当にすごく提案をいろいろしてくださって、なかなか削る作業は簡単だけど提案する作業ってすごい大変だなと現場に行って思うんです。私の性格がちょっとガサツだからか、監督のロマンチックさをやろうと思うと照れてしまって、笑ってしまうという…。でもただただ監督がやってくださるお芝居が可愛くて笑ってました(笑)。

若松:失礼じゃないか。非常にロマンチックなラブストーリーを要求してるんですよ。絢斗くんが途中キスをしようとする場面があって、その前には一応その前兆になるものが必要なんじゃないかなと思って、手を…これは僕は恥ずかしいですよ!絶対僕にはないんで、それを俳優さんを借りて、手をにぎってもらうとか、ほっぺにその手をもってくるとか…言ってて恥ずかしいね。

土屋:でも本当素敵な提案で、最初に恥ずかしいって思いながら照れてやらせていただいてたんですけども、自分の中で落としてくと「人ってそうだよな」って。人に大切なものを提案してくださった…削っちゃいけない場所だな、忘れちゃいけないことだなって…監督思っていました!

――ちなみに監督はその参考にされた具体的な韓国ドラマはあるんですか。
若松:「愛の不時着」でまずハマって、ソン・ヘギョっていう女優さんが僕は大好きなんですね。あと「太陽の末裔」とか「海街チャチャチャ」とか…絢斗、全然興味がないような顔してるよね(笑)。

永山:いやいやコピーして帰ってペーストします。あとでも監督のタケルが過去を千波に吐露するシーンで横になるっていうのがあったじゃないですか。あれも、ね、すごい斬新だなと思って。自分の環境のことを話すシーンで、どういうシーンになるのかなと思いながら現場に行って段取りが始まって。そしたら2人で寝そべって、空を見ながら最後まで言って欲しいっていうことをおっしゃって。僕は少し「?」だったんですけど、それはそれですごく自分の中で落ちたところもありますし、やっていく中でどんどん揉んでいくとさらに良さがわかってきて、終わったときには「すごくいいシーンになったな」と思って。そういうあまり自分の中での発想にないことを監督が提案してくださるので、面白かったですね、最後まで。

若松:トオルさんは、あそこのシーンはどんなふうに思ってます?

仲村:喋るのはすっごいしんどい内容の告白というか…なんだけど、なんですかね。嫌な重さがないというか、そのことを悲しみだけで終わらせていない感じがしたというか…そんな印象がありますね。

Q. 撮影の合間はどのように過ごされていましたか。
土屋:先ほど監督もおっしゃっていた富士山がすごく綺麗な場所が多かったので、よく写真を撮ったりしていました。あとは……写真を撮ったりしてました(笑)。

永山:どうでしたかね…普通に皆さんとお喋りして…重複しますけど、ずっと景色の良いところでの撮影だったので、立て込んできて疲れたりっていうこともありましたけど、現場に行ってしまうと悪い気が抜けるというか。気持ちよく撮影することができてたなっていうのはあったんでよかったですね。

土屋:やっぱりいろいろなシーンに挑戦していくと、これで合ってるのかなとか、向いてないかもと思う時もあるんですよね。だからそれとも戦いでもあるし。それを坂のシーンの時、監督と絢斗さんが自然なお芝居について話していて。その時にふと「自分はどうなんだろう」って絢斗さんにポロっと言ったときに、「それぐらいがちょうどいいんだよ」って…。

永山:なんて生意気なこと言うんでしょうね!ホント向いてますよ!俺が向いてないんですから!

土屋:でもそれでホッとするといいますか、千波がホッとする気持ちと、私が絢斗さんの隣でやらせていただいてホッとする気持ちが重なったなと思った瞬間でした。

仲村:安田成美さんとリアルに子育てどうやってきたかみたいな話であるとか、成美さんが撮ったUFOの写真を見せていただいたりとか(笑)。あと太鳳ちゃんのお父さんの話をちらっと聞いたりしましたけど…僕のセリフで「いつもと違う時間に行動すると、いつもと同じ街も違って見えるよ」みたいなセリフに対して、多分監督も皆さんも納得の「そうかぁ」が出てくると思ってたリハーサルの1回目に、太鳳ちゃんのイントネーションが「そうかぁ?」っていう(笑)かなり意外なイントネーションできたので、それはどういうことなんだろうっていう話を聞いてみたら、どうやらその実際のお父さんとの関係性で生まれた父親のアドバイスに対する基本的な感情みたいなものが見えてしまった瞬間だったようでした。

土屋:やめてくださいトオルさん!恥ずかしいです(笑)。すごい温かい父なんですけど、兄弟っぽいといいますか…なので言われたときに、「そうかぁ?」ってハテナのほうかと思ったら、皆さん「納得の方だよ」っておっしゃって。でも父のことは尊敬しております!

若松:2週間の撮影期間、本当に皆さん心情をキープするのが大変な作品だったように思います。だからなるべくあまり近寄らず、遠くならず、程よい距離感を僕は持てたような気がします。太鳳ちゃんと絢斗くんがニコニコしながら、そして時には芝居の話をしてるんでしょう。とても仲がいい感じがいつもいつも見てて、「絢斗はいいな」ってちょっと思いつつ、まさか「日本酒はこれがいいよ」とか「これがおいしいよ」とか、そういう話はしてないだろうなと想像しますが、どんな感じなんでしょうか?

永山:まぁ家族の話とか。

土屋:そうですね。結構絢斗さんの家族の話を聞かせていただいて。めちゃくちゃ面白く話してくださるんですよ。1個1個が伝説みたいな。

永山:いや土屋さんのあの環境もなかなかだと思います。

土屋:でもお芝居のこともそうですし、普段の生き方みたいな本をプレゼントしてくださったり、おすすめの好きな映画のDVDをくださったり、やっぱり仕事をしていると目の前の役に精一杯になっちゃう瞬間があって。そういうときにそういうものをいただいたときに、自分の中で新しい空気が流れたので、それはすごくありがたかったなって思います。

永山:いや僕の方が本当に感謝していまして、毎日太鳳ちゃんのはつらつとした笑顔と、「おはようございます」っていう声で始まっていく感じが毎日心地良くてですね。「優しい音楽」でした(笑)。

Q. 撮影中、何かハプニングや印象的な出来事はありましたか?
若松:クランクインが江ノ電だったじゃないですか。車両1両借りたりしてやってたんですけど、江ノ電のタイムスケジュールは変えられないんですよ。通常ダイヤで撮影しなきゃいけないもんで、いきなりリハーサルもしないで、もうお願い!みたいに詰め込んじゃって大変だったと思います。

土屋:そうですね、だいたい1回でOKというか。じゃないと進まなかったですよね。

永山:限られてたんですよね、本番できる回数が。2日目はもう1回しかなかったですね。

若松:そうそうそうそう。使える車両がね。それはすごいプレッシャーだと思います。1回失敗すると30分か40分待たなきゃいけない。同じ電車同じを使わなきゃいけないもんで。僕らは2回ぐらいリハーサルをやってるんですよ。操作上の撮影もありますので、それもちゃんと鎌倉まで行って…だからずいぶん鎌倉通いました、僕らも。おかげさまで富士山ずいぶん見ましたけれども、大変だったです。

――土屋さんの差し入れが皆さん印象的だったと…。
土屋:年末で行事が重なったみたいな感じで…なんか自分で話すのも変ですね(笑)。

若松:とても美味しいお弁当でした。

仲村:キャラメルもびっくりするぐらい美味しかったです。キャラメルでこんなに美味しいってびっくりしたの初めてぐらい美味しいキャラメルでした。

永山:クランクインの日も「これ良かったら」とお菓子の詰め合わせみたいなのを、直筆で書かれたカードと頂きまして。すごくマメというか。

若松:聞いたんですよ太鳳さんに。「これは自分でピックアップしてるんですか」って言ったら自分で選んでるんですって。

土屋:(永山が)ピーマンの肉詰めが好きっておっしゃってたから、クリスマスの日にピーマンの肉詰めが入ったお弁当にして。そのときに限って絢斗さんのシーンなかったんですよ。「意味ないか」と思ったら遠くから帰ってきてくださって、食べてくださったっていう…優しいエピソードです。

永山:いやあれは本当にびっくりしました。数日前に「食べ物何が好きなんですか」って聞かれて、「ピーマンの肉詰め」って言ったら…そう、その日ちょっと時間があったんで外に出てたんですけど、何か勘が働いたんでしょうね、現場に戻って…そうしたら「土屋さんから今日はお弁当の差し入れ入ってます」ってことで開けたらピーマンの肉詰め入ってたから、「なんて粋なことをされる方なんだろうな」と思って感動しました。ありがとうございます。

Q. 「優しい音楽」というタイトルですが、撮影中で優しさを感じたエピソードありましたらお聞かせください。
仲村:見ていただければわかるんですけど、映像というか、撮影部さん照明部さん美術部さんだけじゃなく全スタッフが最善の仕事をするために、まぁそこそこ用意スタートをかけるまでに時間がかかっていたような気がするんですけど、その間、静かに待ってらっしゃる若松監督の優しさと、そして絶妙なタイミングで「じゃあ行こうか」みたいな声を…その声の中にある優しさ+穏やかな緊張感というか…要はとてもいい空気が流れていたなと思います。

若松:トオルくんとの出会いは消防隊の話だったんで…。

仲村:温かいというよりも暑くて暑くてしょうがない役でした(笑)。もう26年前ですかね。当時まだコンピューターグラフィックとか合成の技術がなかったせいか、本物の火を「こんだけ暑いってことは俺自身が燃えてるんじゃないか」っていうぐらい暑い中で撮影していましたけど…。

若松:そのときのトオルさんの苦しみ方が、とてもいいんですね。燃えてる中で放水してるんですけど、すごく良くて。僕のうしろにいる人たちが「監督もういいんじゃないですか」ってみんな言ってるんですけど「いやこれからがいいんだよ」ってずっと撮ってたら、カットかけた瞬間にバーッと走ってきて、「自分でやってみてくださいよ!」って(笑)。それぐらいの男ドラマをやってましたね。

仲村:いやでも当時から本当に役者にモテモテで。僕もその後に1日だけでしたかね、道頓堀を作った方の時代劇で東北の方に行ったときに、帰っていく役者さんたちに「お疲れ様でした、お疲れ様でした」って監督をおっしゃってて、それで僕が帰ろうとしたときに「トオル、ありがとうな」って言ってくださって。もう(胸あたりを押さえて)ここら辺が恋をしそうでした!

土屋:オールアップのときの監督のスタッフさんへのねぎらいの言葉がすごく素敵で。こんな言葉をかけられたら、若松監督について行きたくなるなという、そういうの本当におひとりおひとりにコメントして。「君は最高だったよ」「ここが最高だ」って具体的に伝えてらっしゃるのを聞いて、そこにウルウルしました。

若松:もうこれでいいんじゃないでしょうか、この話は(笑)。

Q. ネタバレしない程度に、印象的なシーンや好きなシーンを教えていただけますか。お気に入りのセリフもあればお聞かせください。
土屋:坂のシーンがあって、「ここまで送ってしまうと、今度は僕が君を送りたくなっちゃうよ」っていうようなセリフがあるんですけど、そこは何かすごく心が温かくなるというか、タケルくん素敵だなと思いました。

永山:たくさんあるんですけど、ちょっと細かすぎてあれなんですけど…冒頭の家族のシーンで「いただきます」って言った後に、千波ちゃんがおかずをチェックするんですね。あのシーンがすごくよかったです。冒頭も冒頭でチェックしてるんです、どういうプランで食べようかって。すごくかわいらしいシーンでした。あれは素なのかな?

土屋:演技です(笑)。でも気持ちの流れはあまり切らないように監督も撮ってくださるので、多分、私も入ってるんでしょうね。でもなかなかこういうふうに具体的に…ちょっとやっぱ(永山は)変わってらっしゃるっていうか。スパイスの効いたコメントくださるので…素敵だなと思います。

仲村:全編好きで全部のシーンと言いたいところなんですけど、台本を最初に読んだときから何度読んでも涙がこぼれてしまうシーンがあって。それは安田成美さん演じるお母さんが、誠の学費を払いに行くというシーンがあるんですけど、ちょっとだけ自分も逆のような状況で大学生活を送っていたせいもあるのかもしれないんですけど、もう本当に何か感動してしまうというか、親の気持ちというものがものすごくにじみ出ていて素晴らしいなと思いました。もう1個は、それを自分の中でとても珍しい出来事だったんですけど、僕にとっては撮影が始まったばっかりのシーンで、絢斗くん演じるタケルと喫茶店で会って話をするシーンで、現場に行くときに支度場所から絢斗くんと同じロケバスに乗って現場に向かってるときに、なんとなく「15年ぶりに会えたなんて、お互い、頑張ってこの世界で生き残ったから15年ぶりなんだから、めでたいことじゃねか」みたいなことを言われた先輩のことを思い出したりしてたんですけど。で、その流れでなんすけど、自分の中では、喫茶店のシーンで自分が取り乱したことをタケルに「ごめん」っていうところがあるんですけど、あの「ごめん」は誠への「ごめん」でもあるのかなって思って。このことをね考えだすとまたそのときの感情が蘇ってやばいんですけど、「あの日自分はもっと何かができたんじゃないか」っていう、「あの日こんな言葉をかければよかったんじゃないか」っていうような、それをやらなかったことの誠へのごめんも入ってるのかなって…今だからそんな言い方ができますけど、ちょっと役への扉が開いたような感覚があったというか。それは好きなシーンというよりも、とても印象的な撮影の中で出来事でした。

若松:一言一言全部大切なセリフなんですけれども、明日このドラマを見ていただくいただける視聴者の皆さん、もしくは今ちょっと生きる事に困ってる人たちに対して、タケルがすごくいいセリフを言ってるんですね。「自分が生きてることで喜んでくれる人がいる。初めて言われた。そういうふうに言われたことがとても嬉しい」っていうことをタケルが言ってるんですけども、そこの言葉がとても大切だし、こういうシーンを見てくださればいいなと、明日のこのドラマを、ぜひそういうところを見てほしいなと思います。

Q. 「優しい音楽」というタイトルですが、皆さんにとっての優しい、あるいは癒しの音楽は何かありますか?
土屋:エンヤさんです。3歳からずっと聞いていて、多分母がずっとお腹にいるときから聞いてたんですけど、役作りでも、助けていただいてて、普段からもよく聞きます。今日もメイクしてるときも流してましたし、気持ちを作りたいときであったりとか、わりと取材のときとかにカメラの方が「なに流したい?」って言ったときに、「この雰囲気だったりエンヤさんで」って言って。あとは今回の音楽を担当してくださった稲本(響)さんの曲が素敵なんですよね。音源を聞かせていただいて、音から千波の世界がふわって開くような、そういう感覚になって。素敵な音楽に恵まれるっていうのは本当に幸せなことだなと、お芝居する上ですごく助けになっているので、思いました。

永山:音楽というかノイズというか、音っていうことで言うと、僕将棋好きなんで駒音が好きですね。カカンッ!って…「六八金」って。この音を聞いてるとすごく幸せです。音楽じゃなくてすいません。

仲村:絢斗くんもそうですけど、僕もだいたいの現場に自分で運転して1人で行くので、終わって帰るときに、スタッフの皆さん、共演者の皆さんに「お疲れ様でした」「お疲れ様でした」と言いながら帰っていくんですけど、多分その時間帯までは何かまだ演じているというか。まぁまぁベテランの俳優で感じのいい人を演じているような気がするんですけど(笑)、自分の車に乗ってドアをバタンと閉めて1人になったときによく聞くのは斉藤和義さんの「おつかれさまの国」っていう曲。本当に気を抜いたときに聞いてる曲ですね。癒されるっていうか、ホッとするっていうか…そういうときに聞いてる音楽ですね。

若松:カット割りをやるときにそのシーンに合った音楽をなるべく聞くようにしてます。癒しの曲、優しい音楽…ということで言うと、やっぱりショパンかモーツァルトが好きですね。

――最後に主演の土屋太鳳さんより、番組を楽しみにしている視聴者の皆様に一言メッセージをお願いいたします。
土屋:今という時代は、日常の中にいつも悲しさであったりとか、苦しさっていうものが隠れている時代だと思います。コロナ禍や災害で人知れず心に傷を負ったままの方が多くいらっしゃると思うんですね。そういう時代だからこそ、人の絆の温かさ、音楽の力とともに一緒に感じていただけたらなと思います。そして今日は雪が降っておりますので、どうか雪と寒さに気をつけて、ご自宅にいらっしゃらない方は気をつけて帰られてください。今日はありがとうございました。

番組概要

タイトル
新春ドラマスペシャル「優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ」

放送日時
2022年1月7日(金)20:00~

放送局
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送

出演者
土屋太鳳 永山絢斗/佐藤浩市(友情出演)/安田成美 仲村トオル

監督
若松節朗

新春ドラマスペシャル「優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ」(番組公式ページ)

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