全世界で累計閲覧数9.8億views(2024年6月時点)を記録した韓国発の大人気WEBコミックが映画化。サスペンスホラームービー『他人は地獄だ』が、11月15日(金)より全国で公開される。主演を務める八村倫太郎が演じるのは、上京して格安シェアハウス「方舟」で暮らすことになる青年のユウ。不気味な「方舟」の住人たちと接しているうちに、ユウには住人たちが新たに入居してきた人間を殺害しているのではという疑念が浮かぶ。そして、そんな住人たちの中でも、ひときわ異彩を放つのが栁俊太郎の演じるキリシマだった。初共演だという二人に、映画の見どころや撮影の裏話などを語ってもらった。
「キリシマがユウの地獄を引き出した」
――まず、この映画への出演が決まったときの、お二人の率直な感想をお聞かせください。
八村:「僕はWATWINGというダンスボーカルユニットでも活動していて、役者1本というわけではないので、そもそも出演の機会をいただけることがありがたいですし、役者経験が少ない中で、主演を務めることができるというのは本当にうれしかったです。あと、この作品を乗り越えたら、また新しい自分になれるんじゃないかというワクワク感もありました」
栁:「僕も素直にうれしかったです。この作品は韓国でドラマ化もされていて、前からドラマは観ていました。でもこれを1本の映画にするとしたら、どうまとめるんだろうという疑問はありました。血も出ますし、人も死にますから、日本での映画化のハードルは高いはずで、でもだからこそ楽しみでした」
―――栁さんが演じたのはキリシマという得体のしれない人物で、八村さんの演じたユウは普通の青年という印象です。
栁:「映画での僕の役割はまず怖がらせること、不気味に思わせることだと思ったので、そこは最初に少し悩みました。これまであまりホラー的な役は演じたことがなかったので」
八村:「僕はホラーが苦手で、これまで通ってこなかったんですよ。そういう意味で不安はあったんですけど、児玉和土監督と話をさせていただく中で、ユウは普通でいいし、なんだったら、普段の八村くんの雰囲気でいいとおっしゃっていただいて、だいぶ気が楽になりました。そうか、僕は観客が共感できる立ち位置にいることが大事なんだと思って」
栁:「確かにユウには感情移入できるよね。僕も監督と話をしましたけど、キリシマは淡々と静かに人を巻き込んでいく人間だから、オーラみたいなものを出してほしいと言われて。それはどうやって出せばいいんだろうと悩みました。特に『方舟』の住人たちのキャラが濃いじゃないですか(笑)。あの個性に負けないようにしなきゃなって。でも現場に入ったらすごく自由にやらせていただけたので、自分なりのキリシマを演じることができたのかなと思います」
――映画の鑑賞後は、キリシマという人物の解釈を巡って、盛り上がることができそうですね。
栁:「僕はキリシマって、夢に出てきそうな、嫌な悪夢みたいな存在だと思うんですよ。存在しないんだけど、どこかで見たことがあるような」
八村:「地獄への案内人じゃないけど、僕はキリシマに死神のような印象を受けました。ユウはシェアハウスの住人や会社の人たちと関わるにつれて、ああなってしまいましたけど、そのきっかけとなったのは、他でもないキリシマだと思うんです。もともと人は誰でも心に地獄を持っていて、ユウの地獄を引き出したのがキリシマじゃないかなと」
栁:「それ、すごいわかる。例えば、生まれ育った環境がそこまで変わらない人が二人いて、ほんの些細なことで人生がまったく異なってしまうことってあると思うんですよ。一人は平穏に暮らして、もう一人は犯罪に手を染めてしまうみたいな。その些細なこと、ほんのちょっとのきっかけがキリシマなのかなって」
――お二人はこの映画が初共演ですが、お互いの印象はいかがでしたか。
八村:「僕はもともとファッション誌で活躍されている栁さんを知っていましたし、自分が観てきたドラマや映画にも出られていて、ずっとかっこいいなと思っていたので、共演はめちゃくちゃうれしかったですね」
栁:「倫ちゃんはアーティストでもあるから、お会いする前は、ツンツンした感じなのかなとか思っていたんですよ。写真で見たら髪も金髪だったし」
八村:「金髪のときもありましたね。いろんな髪型にしているので(笑)」
栁:「でも全然、ツンツンしている感じがなくて、会った瞬間、素直で超いいやつだな!みたいな(笑)。一瞬でトリコになっちゃいました」
八村:「そんなこと言ったことないじゃないですか(笑)」
栁:「でも本当。すーっと懐に入ってくるし、計算ではなくて、自然といいやつだなと思わせる人間性があって。そういう近づき方をしてくれたので、現場ではすごく助かりましたね」
八村:「いや、栁さんに広くて深い懐があったんですよ。でっかい懐に入れてもらって、僕もすごい現場が楽しかったです。ご飯にも一緒に連れていってもらって」
――ご飯はどういったところに行かれたんですか。
八村:「実は、映画の中にキリシマが虫をいじりながら焼き肉をするグロテスクなシーンがあるんですけど、栁さん、そのシーンの後に焼き肉に行こうって誘ってきて(笑)」
栁:「あははは、なんであのとき、焼き肉に誘ったんだろ」
八村:「たぶん役に入り込んでいたんだと思います。それか、ちゃんと虫をいじらずに、焼き肉を食べたかったとか(笑)」
――お互い役について話はしましたか?
栁:「あまりそういう話はしませんでしたね。やりながら確認みたいなことはしましたけど」
八村:「そうですね。今のやりやすかったです、みたいな感じで伝えたりはしていました」
栁:「やっぱり芝居って、相手の芝居あってのことだと思うんですけど、今回はあまり相手の芝居を受けちゃだめな冷めたキャラクターだったので、倫ちゃんが超いいリアクションをしてくれると、ついつい反応しちゃいそうになりました」
八村:「栁さんはこれまで他の作品で印象的な役を多くやられてきたので、今回のキリシマという不気味な役をどう演じるのか、とても興味がありましたし、間近で勉強させてもらいました」
――では、最後に映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
栁:「皆さんの想像を超える描写だったり、ストーリー展開だったりすると思うので、スリルを味わいたい方には観に来てほしいですし、割とフラットに観ていただけると楽しめるんじゃないかと思います」
八村:「観る角度によって捉え方が変わる映画じゃないかと思うんですよ。きっと何度も観るうちに発見があるというか。怖い映画なので、勇気を持って観に来てください!」
- ドラマ情報
- 映画『他人は地獄だ』
2024年11月15日(金)より、グランドシネマサンシャイン 池袋、イオンシネマほか全国公開
≫映画『他人は地獄だ』公式サイト《あらすじ》
地元での生活に閉塞感を覚えていた青年のユウ(八村倫太郎)は、上京して恋人のメグミ(岡田結実)を訪ねる。ユウは同棲したいことを伝えるが、突然の訪問に困惑した態度をとるメグミとは結局ケンカになってしまい、行く当てを失くしてしまう。そして、ユウは格安シェアハウス「方舟」に流れ着く……。ユウは「方舟」でキリシマ(栁俊太郎)をはじめとした一癖も二癖もある入居者たちと出会う。やがてユウは、入居者たちの不気味な行動や会話からある疑惑が思い浮かぶ。それは……彼らは新たに入居してきた人間を殺害しているのではないかというものであった。はたして入居者たちの正体とは? ユウはこの地獄のような場所から無事抜け出すことはできるのか?出演:八村倫太郎(WATWING)、栁俊太郎/岡田結実、三浦健人、青木さやか、大倉空人、鈴木武、星耕介/日比美思、松角洋平、大野泰広/濱津隆之、萩原聖人ほか
監督・脚本:児玉和土(C)ヨンキ/LINE Digital Frontier・2024 映画「他人は地獄だ」製作委員会
撮影:島村緑 取材・文:山口智弘
ヘアメイク(八村):MISU(SANJU) ヘアメイク(栁):望月 光(ONTASTE)
スタイリスト(八村):三島和也(tatanoa) スタイリスト(栁):伊藤省吾(sitor)