全国に向けて高齢者施設をどう守り、何をすべきだったのかを伝えていく


私たちに一通のメールが寄せられた。4月下旬、新型コロナウイルスの感染者の第2波が押し寄せていた時期だった。メールは入所者と職員92人が感染し、国内でも最大級のクラスター(集団感染)となった札幌の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」で働く介護職員の親族からだった。内部はもう崩壊している、という訴えだった。それは、クラスターと認定された4月28日より前の出来事だった。

クラスターとなった後、その施設内はより過酷度を増していた。保健所の判断は“施設内でみる”だった。どうして17人も亡くならなければならなかったのか。遺族は語る・・・。

「それは命の選別ですよね?何の権限があって、保健所がそんな判断をしたんでしょう」

救える方法はなかったのか?札幌市の見解と施設の報告書、さらにHTBの独自取材をもとに、12週間に起きたことを検証し、新型コロナで再び“施設崩壊”を起こさないために教訓を探る。

札幌市の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」。4月下旬に最初の感染者が出てから、入所者17人が亡くなった。17人が死亡した最も大きな原因だと職員たちが感じていたのは、札幌市の保健所の入院搬送をせず施設内で看護するようにという方針だった。

施設には当初、90人ほどの入所者がいて、そのおよそ7割が感染していた。追い打ちをかけたのは施設の職員が感染や離職で2割ほどになっていたことだ。介護士は毎日泊まり込み、看護師はまったくのゼロになった。

「救うというより、救いようがない」

法人内の別の施設から応援に入った看護師はこう話す。施設がまとめた報告書はその壮絶な様子がわかるものだった。遺族は怒りを隠し切れない。

「急変する前に医療を受けられていたらと思うと、悔しいというか悔やみきれないですよね」

未曽有の感染症。縦割り行政の弊害がそこに現れた。柔軟性のある組織の連携、臨時支援の在り方、得られた知見の共有、余剰人員の戦力化などの課題が見えてきている。番組では全国に向けて高齢者施設をどう守り、何をすべきだったのかを伝えていく。

ナレーターは女優・内田有紀。今年7月11日(土)放送のコロナ専従病院における医療従事者の不安や葛藤、覚悟を描いた『テレメンタリー2020「たたかう“生命の守り人”」』に引き続きナレーションを担当する。

内田有紀 コメント

その突きつけられる現実へのもどかしい思いと共に、その時に正しい判断ができる人でありたいと改めて 思いました。医療、介護などの今後のことを考えるきっかけになって欲しいと感じています。

番組概要
タイトル
テレメンタリー2020「介護崩壊~救えなかったクラスター~」

放送日時
HTB北海道テレビ 2020年11月8日(日)15:20~15:50
テレビ朝日 2020年11月8日(日)4:30~5:00
(日時違い全国放送)
系列局での放送時間はこちら

ナレーター
内田有紀

テレメンタリー2020「介護崩壊~救えなかったクラスター~」(番組公式ページ)

※この記事はauテレビでも掲載されました。
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