上限5,000人の有観客試合で開催中のプロ野球。PL学園出身・元プロ野球選手の野々垣武志が、キーマンとなった選手を取り上げて、パ・リーグ6球団の1週間の死闘を振り返ります。
<埼玉西武ライオンズ/中村 剛也/チーム成績:4勝2敗>
26日までの対ロッテ6連戦では、17打数6安打で打率.353、1本塁打、2打点と好調をキープ。21日の試合では、2回に美馬学から第4号ソロ、5回にも中前打を放ち、2打数2安打2四球、出塁率10割の活躍で勝利に貢献した。
開幕からトータルの成績(規定打席外)は打率.286、4本塁打、11打点とやや物足りないが、上り調子ではある。
昨季まではホームランにできないボールは追い込まれるまで手を出さない傾向だったが、今季は広角に安打を放ち確実性重視の打撃に見える。しかし徐々に長打が出始めているので、今後に期待したい。
<福岡ソフトバンクホークス/柳田 悠岐/チーム成績:3勝3敗>
開幕からトータルの成績は打率.369(リーグ1位)、9本塁打(リーグ4位)、25打点(リーグ4位)、と絶好調の柳田悠岐。26日までの対日本ハム6連戦でも、19打数9安打で打率.474と高打率を維持している。
23日の試合では、初回に日本ハム先発のバーヘイゲンのツーシームを右中間へ今季4本目となる3塁打を放った。これで長打率は.739でリーグトップ、4本の三塁打でこちらもリーグトップと手の付けようがない活躍をしている。
今季のバッティングを見ると、長打狙いだけでなく状況に応じて確実にミートすることを狙ったり、より確実な方を選んでいる。このままいくと三冠王が見えてくる数字で、日本一を目指すチームにとっても心強い存在だろう。
<東北楽天ゴールデンイーグルス/茂木 栄五郎/チーム成績:1勝4敗1分け>
26日までの対オリックス6連戦では、18打数8安打で打率.444と高打率を残している。26日の試合では、4対4の同点で迎えた8回、4番手投手ヒギンスの144キロストレートを勝ち越しとなる3塁打を放り、チームの連敗を4で止めた。この日は4打数2安打。チャンスメイクの1打とチームを勝利へ導く1打を放っている。
開幕からのトータル成績を見ると、打率.333(リーグ3位)、3本塁打(リーグ17位)、14打点(リーグ23位)と好調だ。
この6連戦は負け越してしまったチームにとって、茂木は心強い存在だろう。もともと長打力もあるので、今後はクリーンアップとして活躍する日も近いと思われる。
<千葉ロッテマリーンズ/安田 尚憲/チーム成績:2勝4敗>
開幕からトータルの成績(規定打席外)は打率.208、2本塁打、9打点と数字は物足りない安田尚憲。21日から26日までの対西武6連戦では、23打数8安打で打率.348、4打点と高成績を残している。
25日の試合では7回無死二塁の場面で、フルカウントから先発本田圭佑のカーブを右前へ先制適時打を放ち勝利に貢献した。21日から4番に起用されて5戦で6安打4打点。3試合連続で打点を挙げ、若き4番が実力を発揮し始めている。
今後は投手の配球のデータを参考に、自然とそれを感じられるようになれば、さらに活躍するだろう。
<北海道日本ハムファイターズ/大田 泰示/チーム成績:3勝3敗>
26日までの対ソフトバンク6連戦では、25打数9安打で打率.360と高い打率を残した大田泰示。22日の試合では、前日から続く2日連続の猛打賞を記録した。この日は初回に右前安打、4回にも左前安打を放つと、5回は左前適時打を放ち、今季3度目となる猛打賞で打線をけん引。
開幕からのトータル成績を見ても打率.217(リーグ32位、2本塁打(リーグ25位)、15打点(リーグ18位)と打率は物足りないが、全体的に上り調子だ。
打席では多少はヤマを張るくらいの割り切りが出来れば、打率も上がり本塁打数も上がってくるだろう。これからの活躍に期待したい。
<オリックス・バファローズ/若月 健矢/チーム成績:4勝1敗1分け>
開幕からトータルの成績では打率.265(リーグ14位)、2本塁打(リーグ25位)、12打点(リーグ26位)と捕手としてはまずまずの打撃成績の若月健矢。
26日までの対楽天6連戦では、20打数6安打で打率.300、1本塁打、7打点と好成績を残している。21日の試合では、2点を追う6回に2番手宋家豪が投げた134キロのチェンジアップを左翼席に運んだ。プロ入り初となる逆転満塁本塁打に気をよくしたのか、7回にも中前に適時打を放ち、自己最多の5打点を記録した。
チームの連敗中に救世主的な働きでピンチを救った若月。連敗中の捕手の心情としてはバッティングには集中できないものの、そうした状況で打てたことは自信にもなったと思われる。今後も活躍が期待される注目の選手だ。

文・野々垣武志(ののがき たけし)
1971年7月8日生まれ、奈良県桜井市出身。1989年にPL学園からドラフト外で西武ライオンズに入団。同期入団は、ドラフト1位の潮崎哲也、2位の鈴木哲、3位の大塚光二、4位の宮地克彦ら。主に内野手として6年間プレーし、1995年にトレードで広島東洋カープに移籍し、代打の切り札として活躍した。2001年からはダイエーホークスに2年間在籍。その後は台湾プロ野球の誠泰太陽に移籍し、14年間の現役生活に幕を下ろした。現在は野球指導者、YouTuberとして活躍している。

 
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