映画『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』
(C)GERONTIUS PRODUCTIONS LIMITED 2025

 

偏屈な指揮者と寄せ集めの合唱団。
声が祈りに変わる瞬間、人々に希望の火が灯るー。

 

第一次世界大戦下のイギリス北部ヨークシャー。徴兵で多くの団員を失った合唱団は、存続の危機に瀕していた。若者や町の人々を迎え入れ、“歌うこと”を通して再び心を結び直そうとする。新たな指揮者に選ばれたのは、敵国ドイツで活動していたヘンリー・ガスリー。偏見と不信を背負いながら、彼は退役軍人、売春婦、敬虔なボランティア、徴兵を控えた少年たちなどの寄せ集めの団員たちと向き合い、熱心な指導のもとで、失われたつながりと希望を取り戻していく。やがて彼らは、前代未聞の“ある挑戦”へと踏み出す。しかし、再び徴兵通知が届き始め、ようやく芽生えた平穏は、戦争の影に呑み込まれていく。
 

映画『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』
(C)GERONTIUS PRODUCTIONS LIMITED 2025

 

主演は、『教皇選挙』『ザ・メニュー』など話題作への出演が続くレイフ・ファインズ。厳格で偏屈な男の複雑な内面を、深い陰影とともに体現する。共演にはロジャー・アラム、マーク・アディら英国の名優と次世代を期待される新星が集結。監督は『英国万歳!』など英国アカデミー賞・トニー賞受賞の演出家ニコラス・ハイトナー。英国を代表する劇作家アラン・ベネットとは4度目のタッグとなる。英国社会の複雑さとユーモアを描き続けてきた二人が、本作でも“芸術が人を支える瞬間”を静かに、しかし確かな手触りで描き出している。
 

映画『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』
(C)GERONTIUS PRODUCTIONS LIMITED 2025

 

物語の中心は、戦争に揺れる若者たち。徴兵年齢に近づく少年たち、負傷して帰還する青年、息子を失った家族、恋人の帰りを待つ女性たち――誰ひとりとして戦争の影響を免れない。しかし、だからこそ人々は働き、遊び、歌い、そして待つ。牧歌的な風景の中に、戦死通知の電報が絶えず届く。その対比が、戦争映画には珍しい“残された人々の日常”のリアリティを生み出している。本作は戦争の悲劇を直接描く映画ではない。むしろ、不安と喪失の時代にあっても、人は歌い、愛し、日常を続ける――その静かな再生を描いた作品だ。音楽が人々をつなぎ、芸術が心に灯をともす。そんな普遍的なテーマが、英国的ユーモアと抑制された情感の中に息づいている。
鑑賞の際には、ぜひ“音楽が人を動かす瞬間”に耳を澄ませてほしい。そこに、この映画がそっと差し出す希望のかたちがある。

 

映画『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』
(C)GERONTIUS PRODUCTIONS LIMITED 2025

 

作品情報
映画『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』

監督:ニコラス・ハイトナー(英国万歳!) 脚本:アラン・ベネット
出演:レイフ・ファインズ、ロジャー・アラム、マーク・アディ、アラン・アームストロング、ロバート・エムズ、サイモン・ラッセル・ビール
2024年/イギリス・アメリカ/英語/カラー/ユニビジウム/5.1ch/113分/原題:The Choral/日本語字幕:斎藤敦子
公式サイト

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